「妖怪大戦争」で具現化したKADOKAWAのIP戦略 映画だけでなくイベントや地域連携での活用も

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また、8月7日にはところざわサクラタウン内にも「魔神像」と「武神像」が登場。インスタ映えするフォトスポットとして多くの観客が来場。記念撮影に興じていた。

「やはり妖怪の話をするとみんな平和になる」と語るKADOKAWA文芸・映像事業局担当執行役員の堀内大示局長 (筆者撮影)

その他、妖怪3部作と大魔神3部作の4K修復版など、過去の大映特撮アーカイブを振り返る「妖怪・特撮映画祭」や、声優の水島裕プロデュースの朗読劇「風の聲 ~妖怪大戦争 外伝~」を実施している。

今回はKADOKAWAの一大プロジェクトということで、グループの垣根を越えた協力体制が敷かれた。会議の場では「妖怪文化をいかに広めるか」という議題をもとに、活発な意見が交わされたという。KADOKAWA文芸・映像事業局担当執行役員の堀内大示局長も「やはり妖怪の話をするとみんな平和になる」と語るなど、妖怪を通じて思わぬコミュニケーション効果があったことを明かす。

IPを活用した作品を開発中

実際、7月から8月にかけて、KADOKAWAが出版するほぼすべての雑誌、およびウェブサイトに、妖怪のイラストキャラクターが登場する企画も実施されている。

KADOKAWAが出版するほぼすべての雑誌、およびウェブサイトに妖怪が出演 (筆者撮影)

IPのさらなる展開も進めている。

ここ数年でも『ぼくらの7日間戦争』『ジョゼと虎と魚たち』といった実写映画をアニメ化するなど、過去の豊富なIPを生かしたユニークなマルチメディア展開を行っているKADOKAWA。堀内局長は「KADOKAWAのIPを活用した作品で開発中のものは複数ある。どの作品を選んで、どの時期にやるかというのは現時点では言えないが、『妖怪大戦争』級の作品もありますので、ぜひとも楽しみにしてもらいたい」と、IPを生かした作品をさらに世に出していくことを示唆する。

豊富なIPコンテンツを有するKADOKAWAが、今後はどんな作品で驚かせてくれるのか。今から楽しみだ。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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