「コロナ病床5%」旧国立・社保庁197病院への疑問 法律あっても病床確保は厚労相のお願いベース

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ところが地域医療機能推進機構は赤字どころか、優良病院そのものだ。2020年度決算によると、201億円もの黒字になっている。好業績は昨年度だけではない。貸借対照表によると、総資産約5800億円に対して負債は約1051億円しかなく、自己資本比率は82%という超健全経営なのだ。

その分析は別の機会に譲るとして、いま、コロナ禍で、民間病院は経営難にあえぐところが多い。民間病院がコロナ患者を引き受けることは、ひとつ間違えば院内感染を引き起こすことにもなり、たちまち経営は傾く。

今こそ公的医療機関としての役割を

今こそ、国が主導して民間に範を示すべき時ではないか。20日の記者会見で、田村厚労相に、コロナ専門の病院をつくるために指示を出すつもりはないかと質すと、次のように答えた。

「働いている方々が、覚悟を持って対応していただかなければならないこともありえます。つねに想定しながら、いろいろなお願いをしている。まったく考えていないわけではありませんが、いろいろな問題点がある中で、つねに検討しているということであります」

まどろっこしい言い方だが、考えていないわけではないと言いたいようだ。

取材に対する厚労省医療経営支援課からの回答。なぜこんなにコロナ病床が少ないのか、公的病院の役割を果たしていると考えるか、なども聞いたが回答はなく、都道府県の要請に応じて提供した結果であると、木で鼻をくくったような中身だった

旧社保庁系病院は、一度は民間などに売却されることが決まり、公共性があるという判断で公的医療機関として生き残った。その後に培ってきた経営体力は、今回のような危機の時にこそ活用されなければならないだろう。それができないのであれば、今度こそ、解体・売却したほうがいい。これだけ立派な黒字病院なのに、公的な役割を果たせなければ、公的な優遇措置を続ける意味がない。

松浦 新 朝日新聞記者

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まつうら しん / Shin Matsuura

1962年愛知県生まれ。東北大学卒業後、NHKに入局。1989年朝日新聞入社。東京本社経済部、週刊朝日編集部、特別報道部、経済部などを経て、2017年4月からさいたま総局。共著に『ルポ 税金地獄』『ルポ 老人地獄』(ともに文春新書)、『電気料金はなぜ上がるのか』(岩波新書)、『プロメテウスの罠』(学研パブリッシング)ほか。

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