ワクチンでは止まらないデルタ株「衝撃の感染力」 接種で感染減の前提は米当局最新データで崩壊
ワクチン接種を完了した人も再びマスクを着用するようにとの勧告がアメリカの一部地域で出されるようになっている。アメリカ疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長によると、この方針転換は主に、ある厄介な研究結果に基づいていた。
ワクチンを2回接種しながらデルタ変異株に感染した人は鼻と喉に大量のウイルスを持つことが新たな研究で明らかになった——。ワレンスキー氏はニューヨーク・タイムズの質問に電子メールでそう回答した。
従来型の新型コロナウイルスに感染した接種完了者には見られなかった現象だ。これまで接種を済ませた人は大部分において他人に感染させることはないと考えられてきたが、そうした前提が崩れた格好になる。
「接種済みが7割」という驚きの集団感染
接種を完了したにもかかわらず感染する「ブレークスルー(突破型)感染」を起こした人々は、たとえ無症状であったとしても、未接種の人々と同じくらい感染を広げるおそれがある。
これは、接種完了者であっても、感染率の高い地域では対策を再び強化しなければならなくなることを意味する。自らを守り、他人に感染させないためには、接種を完了した人もマスクの着用が必要になるだろう。アメリカ国民にとっては衝撃の研究結果といえる。
その結論は否定しがたく、接種完了者にも屋内の公共スペースで再びマスクの着用を呼びかけるCDCの勧告は妥当だと、研究内容に通じた4人の科学者は語った。
この研究は、マサチューセッツ州プロビンスタウンで起きた集団感染とも関連がありそうだ。7月4日の独立記念日のお祭り気分が引き金となり、7月29日時点で882人の感染が確認されている集団感染だが、うち4分の3近くは接種を済ませた人たちだった。
CDCはプロスポーツのリーグで構成される「COVID-19スポーツと社会のワークグループ」のデータも追跡している。このプロスポーツの連合体は、毎日1万人以上の検査を行い、すべての感染例をゲノム解析している。