フランス人が提案「緊急宣言下の日本」の楽しみ方 観光客がいない今こそ日本を楽しむチャンス

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ちなみに、今回の岐阜訪問では鮎という魚や、鳥を使った伝統的な漁法(鵜飼)にも初めて触れました。これらについては聞いたことはありましたが、夏にしか見られないそうですね。とても印象的でした。

風鈴

もう1つ、日本独特な夏の風物詩といえば「風鈴」です。多くの外国人は、軒下に吊るされた物体に何の意味があるのか不思議に思っています。しかし、日本のこのおそろしいほどに暑い夏を味わった今、風鈴を通り抜ける風の音を聞くだけで涼しさを感じる感覚が理解できます。

そういえば、パリに持ち帰るために1つ買ったことがありました。パリの自宅の前にある小さな木に取り付けました。そこは隣人との共有スペースだったのですが、日本に長期滞在をして戻ってきた時、風鈴が縛られているのを見てとてもショックでした。近所の人たちは、風鈴の音でまったく癒されなかったようです。これが異文化生活の面白さです。

実は日本は「美術館大国」

美術館・博物館・展覧会

フランスでは厳格なロックダウンが行われていた時は、美術館や博物館は軒並み閉まっていましたが、日本では多くの美術館がオープンしています。だからこそ、美術館や展覧会に足を運ぶのにふさわしい時期といえるのではないでしょうか。

多くの美術館では密を避けるために事前予約などを行っています。日本では人気の展示会は「作品より人を見に行った」ということになってしまう時もありますが、来館者の人数制限を行なっているのであれば、通常時よりゆっくり作品を楽しむことが可能です。

あまり知られていませんが、日本は美術館大国で、どの地域にも素晴らしい、個性的な美術館があります。今こそそういう場所を訪れるチャンスではないでしょうか。

新型コロナの感染者が増えていることばかりに目を向けていると、日本は絶望的な状況にあるように見えてしまいます。しかし、ワクチン接種が確実に、そして急速に進んでいるので近い将来はもう少しポジティブな状況になることを願っています。

日本はとてもすばらしい国で、この夏、世界の人々がこの国を直接見に来ることができなかったのは本当に残念なことです。しかし、観光客がいない今だからこそ、地元を改めて探索してこれまでスルーしていた場所を訪れてみたり、日本独特の夏の風物詩を静かに体験してみたりするのに適した時期でもあります。そう、私自身がフランスで何年かぶりにベルサイユ宮殿に行ったように……。

ドラ・トーザン 国際ジャーナリスト、エッセイスト

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Dora Tauzin

フランス・パリ生まれの生粋のパリジェンヌ。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。国連本部広報部に勤務ののち、NHKテレビ『フランス語会話』に出演。日本とフランスの懸け橋として、新聞・雑誌への執筆、テレビ・ラジオのコメンテーター、講演会など多方面で活躍。著書に『フランス式いつでもどこでも自分らしく』『パリジェンヌはいくつになっても人生を楽しむ』『好きなことだけで生きる』などがある。2015年、レジオン・ドヌール勲章を受章。公式ホームページはこちら、 Facebookはこちら

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