古舘伊知郎が「とくダネ!」終了を心底残念がる訳 小倉智昭は毒っ気が持ち味の最後の司会者

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『とくダネ!』って、もっと重い、ラードで揚げたコロッケを売る精肉店みたいな感じだったじゃないですか。小倉さん自身がやっているのは焼肉店ですけど。

そういうものがなくなると生態系のバランスが崩れるんですよ。ビーガンだけじゃダメなんです。ビーガンあり、肉食あり、雑食あり、それが混然一体となっているのが世の中なのに。

小倉さんは、毒っ気のある最後の司会者。一つの時代の終焉を目撃した気がしました。

叩かれ、嫌われる。そんなキャスターの胸の内

小倉さんが病気を患い、退院したときにちらっと言っていたんですよ。「いろんなことを言いまくっている私だけども、休んでいるときにネットを見るにつけ、もういいのかなと思ったところもちょっとはあります」って。これは、僕、共感しちゃうんですよね。

僕も『報道ステーション』では、毎日めった打ちされていましたから。当時は、メールより電話が主流でしたが、クレームがテレビ朝日に毎日何百本と入る。視聴者からのクレームを受け付けている大学生アルバイトの男の子や女の子はかわいそうですよ。

マスコミに憧れてバイトしているのに、「古舘を出すな」「あのバカヤロウ、死ねって言っとけ」「古舘があんなこと言いやがって許せねえ」なんて話ばかり聞かなきゃいけないんですから。

自分が言ったことに怒られるならまだしも、言っていないことにも「古舘が言った」と言われることもありました。これが困ります。

誰かがどこかで言ったことを「古舘が言った」に記憶を差し替える。人間ならば誰しもあることです。それを勘違いと呼ぶわけですが。おそらく1人が繰り返し何十回も「古舘が言った」と言ってきているんです。

「そんなこと、ひと言も言ってないよ!」と思うけど、同じ人が言っていたとしても別々な人間に言われていると思ってクレームの報告を読んじゃうと、大勢から「古舘が言った」と言われている気になってくるんです。

そうなると、「確かに、言ったかもしれないな」って思えてくるんですよ。だから僕は、取り調べで潔白なのに自白してしまう人の気持ちがよくわかります。本番前にこうしたクレームに目を通すと、萎えるんです。

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