古舘伊知郎が「とくダネ!」終了を心底残念がる訳 小倉智昭は毒っ気が持ち味の最後の司会者

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『とくダネ!』出演時の小倉智昭氏(写真:時事)
時代とともにテレビの中で役割が変わってきた司会者・MC。活躍している人々はどのような場のさばき方をしているのでしょうか。フリーアナウンサーの古舘伊知郎氏が「後世に伝えておきたいMCの歴史」として上梓した『MC論 昭和レジェンドから令和新世代まで「仕切り屋」の本懐』より一部抜粋・再構成してお届けします。

28年間フジテレビの「午前中の顔」

22年間続いた『とくダネ!』が終了し、小倉智昭さんが朝の顔ではなくなってしまったことは、心底残念でなりません。感傷的なことは抜きにして。

正直言って、小倉さんとは仲がいいわけではありません。邪推ですが、向こうからしたら生意気な後輩だと思っていることでしょう。もっとも人って、根拠のないところで「好き・嫌い」を判断しているものです。

道が二股に分かれていて、その分岐点に立ったとき、どちらに進むか。「なんとなく、こっちの景色が好き」そんな根拠のない理由で選択して左に、あるいは右に一歩踏み出す。そういうふうに脳ができているんですよ。好きか嫌いかで踏み出さないと、そこで迷って死んでしまいますから。

自分の好きな人は、いい人。自分の嫌いな人は、悪い人。ここで間違えてはいけないのは、自分の嫌いな人でもいい人はいっぱいいるだろうし、その逆もあるじゃないですか。僕が小倉さんのことをそんなに好きじゃないからって、小倉さんがそんなにいい司会者じゃないと決めつけるのは極めて危険な考えです。

司会者、MCとしての小倉さんは、22年間続いた『とくダネ!』の前に、同じフジテレビで1992年からはじまった朝の生活情報バラエティ『ジョーダンじゃない!?』、それを引き継いで1993年からはじまった『どうーなってるの?!』という番組をやっていました。1999年に『とくダネ!』がはじまるのを機に降板していますが、トータル28年間もフジテレビの「午前中の顔」として牽引してきたんです。ここまできちゃったら、死ぬまでやり続けてほしかった。これが本音です。

確かに今の地上波放送は大変な局面を迎えています。一極集中の構図が崩れ去り、若い人がネットに流れ、広告費を奪われる中、新陳代謝したい。それは商業原理として当たり前のことですが、『とくダネ!』は治外法権に置いてほしかった。

あの時間帯で視聴率がいいのは『羽鳥慎一 モーニングショー』です。『スッキリ』も頑張っている。実は競争しながら、支えあっているんです。小倉さんのMCが嫌いだから、羽鳥君の番組を観る。その逆も然り。

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