上から目線で「ワイン語る人」が知らない楽しみ方 ワインを楽しむのに知識から入る必要はない

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やたらと煩わしいルールを押し付けたがる人がいる。「このワインにはこのグラスがいいですよ」「このワインは17度で楽しんでください」「2時間前に抜栓してください」「口に入れる前にまず香りを楽しんであげてください」など、余計なお世話だ。寛ぐために、楽しむためにワインを飲むのだから、安物のマナー教室のような規則には縛られず、好きなように飲ませてほしい。

好みは人それぞれだし、その人に合った飲み方が一番だ。熱々の料理が美味しいからといって、猫舌の人に熱い料理を無理強いするのはハラスメント以外何ものでもない。どんな高価な料理でもその人の口に合わなければ何の価値もないのである。

10万円のワインだからといっても、誰もが美味しいと思うとは限らない。「高価なワインはやはり格別の美味しさで、品格がありますね」と皆が思うわけではないのだ。2000円のワインの方が美味しいと思う人がいても何の不思議もない。3つ星レストランの高級料理より、場末の居酒屋やトラットリアの料理の方が美味しいと思うことだってあるのだ。

上から目線のお寒い説教は無視

ビール、日本酒、焼酎、ウイスキーでもそうだが、ワインにも他のアルコール飲料とは異なる独自の特徴がある。それを知っておくことは、ワインを楽しむ上で役に立つかもしれない。

だが、ワインについて細かい知識を集めて、ひけらかすことに喜びを見出す「トリビアの泉」的アプローチは、まさに「木を見て森を見ず」で、かえって本質を見逃してしまう。肝となる部分だけを大きくざっくりと捉えておけばいい。あとはそれぞれが好きなように楽しむだけだ。

とかく、蘊蓄、格付け、マナーなどは、人生を楽しむことを妨げることが多い。ワインの飲み方についての上から目線のお寒い説教を無視して、自由にワインを楽しみたい。ワインは人生を楽しくし、人を幸せにするためにあるのだから。

誰でも面倒くさいことは嫌いだ。ましてワインはオフのタイムを豊かにしてくれるもので、キャリアアップのための道具ではない。そんなワインを知るのに面倒なことはしたくない。時間もかけたくない。ざっくりと簡単に知りたい。当然の願いである。

そのために『5分でわかるワイン』『100本でわかるシャンパーニュ』といったたぐいの本が続々と出版される。ワインを飲み始める人にとってこれらの本はとても役に立つだろう。

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