クック体制でアップルの均衡崩れつつある

『沈みゆく帝国』著者、ケイン岩谷氏に聞く(後編)

 アップルが7月22日に発表した2014年第3四半期(14年4月~6月期)は、売上高374億ドル、純利益77億ドルと、ともに前年を上回った。ティム・クックCEOはこれに対し、「iPhoneおよびMacの好調な販売とアップルエコシステムからの継続的な売上高増により4~6月期の売上高は過去最高となり、EPS(1株当たり利益)も過去7四半期で最高の伸びとなった(中略)」と述べている。
 好調な業績にもかかわらず、『沈みゆく帝国』~スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大でいられるのか~』の著者、ケイン岩谷ゆかり氏はなぜ、アップルの未来に悲観的なのか。前編「ジョブズ存命でも、アップルの進化難しかった」に続き、アップルが抱える課題について聞いた。

アイブの言いなりになる懸念

――古参幹部の中に新しい風を送り込む必要があるとのことですが、特にデザイン分野のトップであるジョナサン・アイブは、長らくジョブズの寵愛を受けた人物です。

撮影:吉野純治

ウォルター・アイザックソンの著書『スティーブ・ジョブズ』でアイブは、「ジョブズに手柄を取られた」という発言をしたと話しているが、アイブも同様のことをしている。外からは見えないが、実際は彼の部下が(仕事を)やっていることが多い。ジョナサンの属する工業デザインチームには、とても優秀な人たちがいるから、そろそろ彼らのチャンスだと指摘をする人もいる。

――アイブはジョブズの死後プライベートジェットを要求し、クックも取締役会もそれを拒否したという逸話もあります。

世間的にジョナサンはアップルになくてはならないと思われており、クックは何があってもキープしなければいけない人材と思っているだろう。が、それだけ有利な立場にいる人物を会社に置くのは、反面リスクが高い。アップルがジョナサンの言いなりになるとは言わないまでも、それに近い状況になってしまう可能性がある。

――その一方でクックはCEOになってすぐ、「iTunes」の責任者だったエディ・キューをシニア・バイスプレジデントに引き上げ、新陳代謝を図ろうとしています。

エディ・キューはすごく人に好かれる人。ジョブズにもとても信頼されていたのに、なぜかバイスプレジデントにしかなれず、みんながシニア・バイスプレジデントになるべきと言っていた。彼を引き上げたのは、とても良い采配だった。

ただ懸念もある。キューはチームプレイを重視する人物なので、ジョブズのように周りを喧嘩させることはせず、平和を好む傾向がある。キューのようなスタイルがアップルに定着すれば、クック体制下においては、社員が周りと違う意見が言えなくなる環境が生まれる可能性がある。

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