東京五輪を仏メディアが「意義深い」と評価した訳 「競技場外で想定外の問題提起があった」と指摘
イギリスのBBCも東京五輪の総括で「誰も予想できなかった瞬間があった」と指摘。バイルズ選手の選択のかに、男子走り高跳びでイタリアのジャンマルコ・タンベリ選手とカタールのムタズ・バルシム選手が、最後まで金メダルを争うより金メダルのシェアを選んだこと、女子トライアスロンで最下位に終わったベルギーのクレア・ミシェル選手に対し、ライバルであるノルウェー代表のロット・ミレル選手が慰めたことを紹介した。
こうした感動が、コロナ禍にもかかわらず、東京五輪を意義深いものにしたと思われる。日本は世界の中でも組織力、人材力に優れていると思われており、多くの海外のジャーナリストが「日本だからこそ東京五輪はやれた」と評したが、東京五輪に火を点けたのはアスリートたち自身だった。
女性アスリートのユニフォーム問題にも注目
このことに関連する話としては、東京五輪の体操女子団体の予選でドイツ代表チームが、従来のレオタードではなく全身を覆うボディースーツを着用したことも注目を集めた。
これは五輪前の7月18日に開催されたビーチハンドボール欧州選手権で、ノルウェーの女子チームが、ユニフォーム規定にある露出度の高いビキニパンツ着用を拒否し、欧州ハンドボール連盟から罰金を科されたことが影響したと見られている。ノルウェーの女子チームに共感したアメリカの歌手ピンク氏が、罰金を肩代わりすると申し出たことでも注目を集めた。
体操競技ではボディースーツも許可されていたが、五輪で「自分たちが着たい服を選んだ」と説明し、唯一ボディースーツを選んだドイツチームに称賛の声があがった。
フランスの週刊誌『マダム・フィガロ』はその問題で、アメリカのウェスタン大学国際オリンピック研究センターの元所長、ジャニス・フォーサイス氏に取材し、「女性アスリートのスポーツを観戦してもらうために、男性の聴衆にアピールすることで注目度を増し、スポンサーやテレビ契約、さらには企業スポンサーを引きつけようとする商業主義が背景にあるのは確か」との指摘を紹介している。
実際、女性のスポーツに対する性差別的な見方を裏付けた研究結果が2008年に発表されている。2004年のオリンピックのビーチバレーボールの試合映像を分析した結果、映像の37%がプレーヤーの胸または臀部に集中していたことが明らかになっていた。
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