軍備増強目指すインド、日本企業へ秋波

飛行艇を輸入するほか、日印合同の航空機工場も

過去の政権も、民間資本を導入することで産業の近代化・高度化を進めようと、段階的に民間企業や外資による投資規制を緩和してきました。1991年には国内民間資本への一部開放が行われ、民間企業による部品供給が可能に。さらに2001年には防衛装備製造が自由化され、国内企業は100%、外資は外国投資促進委員会(FIPB)による認可で26%までの直接投資が可能になりました。

ただ、こういった規制緩和は、外資企業にとっては決して十分なものではありませんでした。結果として、資金面でも技術面でも外資誘致に失敗しています。インドの防衛産業部門へのFDI流入額は2001年の開放以降でも、どの産業よりも低い金額にとどまっています。

日印合同で航空機工場新設へ

今回、防衛産業への外資参入上限を49%に緩和するにあたっては、国内で大きな議論を呼びました。出資規制を緩和しても、インドは最新の軍事技術を手に入れられないだろう、単なる組み立て工場を増やすに過ぎない――といった声が反対意見の主なものです。

しかし、防衛関連企業の多くは、意外にも前向きな姿勢を示しました。外資企業との合弁を模索して、資金と技術を得ようとする企業が多いのです。実際、緩和発表以来、外資のインド防衛産業に対する関心度は高まっており、早くもインド企業との提携計画を発表した外資企業もあります。国による産業の独占は終焉に向かっているのです。

この方向性は日本の防衛産業にとっても大きなチャンスです。日本企業は従来、インドの防衛セクターで大きな存在感を示していませんが、新年度予算発表以降、潮目が変わりつつあります。8月末から9月上旬にかけて、モディ首相が来日する予定ですが、安倍晋三首相との首脳会談では、海上自衛隊の救難飛行艇「US-2」(製造元:新明和工業)の輸入が議論される見通しです。

さらに両国政府は合同作業部会を発足させて、ライセンス契約によるインドでの航空機組み立て工場の新設などを検討しています。

インドはこれまでも世界最大の防衛設備輸入国のひとつで、年間の輸入額は80億ドルに上っていました。この大きなパイが、出資規制緩和でさらに拡大しようとしています。インドの防衛産業は、間違いなく目を離せないセクターです。

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