キプチョゲがナイキと紡いだ「2時間切り」物語 「厚さは速さだ」のナラティブが浸透した理由

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東京五輪で2連覇を達成したエリウド・キプチョゲ選手は、2019年10月12日には、ウィーン で「2時間の壁」を破っている(写真:新華社/アフロ)
エリウド・キプチョゲ選手が「厚底シューズ」で男子陸上マラソンの五輪2連覇を成し遂げた。さかのぼると、2020年の箱根駅伝でほとんどの選手が履いていたナイキの「ピンク色のシューズ」。「厚さは速さだ」というメッセージによって日本での人気が高まったが、そのナラティブ(物語)は「フルマラソン2時間切り」プロジェクトまでさかのぼる。
ナラティブカンパニー』を上梓した本田哲也氏が、マルチなエンゲージを可変的に展開することで厚底シューズの市場拡大に成功しているナイキのナラティブについて紹介する。

五輪マラソン2連覇したキプチョゲ

東京オリンピック(五輪)陸上男子マラソンで、世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が圧倒的な強さを見せた。1960年ローマ、64年東京で連覇したアベベ・ビキラ(エチオピア)、76年モントリオール、80年モスクワのワルデマル・チェルピンスキー(東ドイツ)に続き、史上3人目の五輪マラソン2連覇を達成したのだ。

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1年半前、2020年の東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)を観た人ならきっと、ほとんどの選手が〝ピンク色のシューズ〟を履いていたことを覚えているだろう。厚底シューズとして一躍注目を集めることになった「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」(以下、ネクスト%)。

キプチョゲ選手とこのシューズをめぐる物語は、それより以前、2017年から始まる「Breaking2」プロジェクトまでさかのぼる。

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