アメリカの高校生が学校で教わる「お金」の本質 日本の学校では教えてくれない「基本中の基本」
反対に成長がマイナスになると、経済は縮小する。この状態は「景気後退」と呼ばれる。たとえばアメリカのGDPは、2008年の14兆7000億ドルから2009年の14兆4000億ドルに減少している。3000億ドル分の経済活動が失われたということだ。
「生産性を上げる」とはどういうことか
経済の縮小で困るのはビジネスだけではない。人々も大きな影響を受ける。景気後退はたいていの場合、失業、給料が上がらない、あるいは下がる、政府と家計の借金が増える、党派の対立が激しくなるといった痛みを伴うことになる。
経済専門家の中には、景気後退も景気循環の一部であり、確かに痛みを伴うが、期間は短いのでそれほど大きな問題にはならないと考える人もいる。それに景気が悪くなると、企業は生産性を上げる努力をするので、長い目で見れば経済にとっていいことだという。経済を成長させるひとつの方法は、生産性を上げることだ。生産性とは、ある一定のインプットに対して、どれくらいのアウトプットがあるかということを意味する。
たとえば、あなたがマクドナルドで働くことになったとしよう。最初のうちは、1時間で作れるハンバーガーの数は4個だ。この1時間で5個という数字が、あなたの生産性ということになる。そして経験を積むうちに、やがて1時間に3個作れるようになり、さらに4個作れるようになった。これは、あなたの生産性が向上したという意味になる。生産性が向上すれば、給料の上昇にもつながるかもしれない。
生産性が高いとは、資源をより効率的に使って財やサービスを生産できるということだ。だから、生産性が上がると、経済全体が成長し、私たちの生活水準も向上する。
経済には「低成長」という状態もある。まったく成長していないわけではないが、成長率が年に1~2%しかないような状態だ。アメリカの場合、人口が増えているので、低成長は大きな問題だ。アメリカの人口は、2014年には3億1870万人だったが、2020年には3億3450万人になると見込まれている。つまり、年に1%弱のペースで人口が増えているということになる。
人口の増加を考えれば、年に1%の経済成長で現状維持だ。それ以下では、国民1人ひとりの取り分が少なくなることを意味する。経済が低成長に陥ると、ほとんどの人は生活を切り詰めなければならなくなる。
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