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なぜ、あえて「カタワ」という言葉を使うのか 湯浅誠×乙武洋匡 リベラル対談(後編)

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  • 湯浅 誠 社会活動家、法政大学教授
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湯浅 だけどその切り替えが遠くから見ると、変節とも見えるわけですよ。「あいつは有名になって人が変わった」とか「媚びるようになった」とか言われることもある。でもそれをしないと前に進まない。

乙武:障害にしても貧困にしても、マイノリティですよね。マイノリティの問題を解決するには、マジョリティを味方につけないといけない。でも、マジョリティはマイノリティの問題に興味がない。

湯浅:そこが決定的なジレンマですよね。

最後にひとつ伺いたいのですが、乙武さんは今後、何か着手しようと思っていることとか、思い描いていることがありますか。

教育は“学校”だけではない

乙武:僕はこの10年近く、教育をメインフィールドに小学校教師や東京都教育委員を務めてきたのですが、それだけでは限界も感じていたところなのです。教育というと、どうしても学校教育だけがクローズアップされがちですが、本来、子どもは「家庭」「学校」「地域」の三者で育てられるんですよね。

学校教育については、かなり深くかかわることができた。また、2児の父として、家庭教育にも当事者としてかかわることができている。ただ、地域との接点を持てていないということに気づいたのです。そこで、「グリーンバード新宿」というゴミ拾いのボランティア団体を立ち上げました。ゴミ拾いにかぎらず、さまざまな活動を通じて、地域の住民同士をネットワークで結んでいこうというのが目的です。高齢化が進むだけでなく、高齢単身世帯がどんどん増えていく状況で、いざ災害が起こったときに誰もが孤立しないためのまちづくり。こうした地域活動が、防災や治安、子育てや地域教育につながっていくものと確信しています。

湯浅:ほんとうに、親だけでなく、先生だけでなく、地域の人にも守られて子どもは育つのですよね。

最後になりますが、乙武さんにとって、リベラルとは一言でいうと、どういう意味だと思いますか。

乙武:これがリベラルなのかはわかりませんが、僕が教育においても、また社会においてもいちばん実現したいことは、「生まれついた境遇や環境によって不利益が生じない社会にしたい」ということです。それが僕の中でリベラルと親和性の高い思いかな。

湯浅:乙武さんは『自分を愛する力』(講談社現代新書)の中で、「みんなちがって、みんないい」という金子みすゞの詩(「わたしと小鳥とすゞと」)の一節を引用していますが、これはまさにリベラル的なマインドですよね。

(構成:長山清子、撮影:今井康一)

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