ポケモン、あえて「王道」外した新作ゲームの意味 日本では発展途上の「MOBA」に託した世界戦略
ポケモンユナイトのルールは、任天堂スイッチのソフト『スプラトゥーン2』にも似ている。が、スプラトゥーンは自分が操作するキャラクターの視点で進行し、スピード感のある射撃戦を楽しむことに主眼が置かれている。アメリカのライアットゲームが運営する『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』といった、MOBAの代表格のゲームとは若干趣きが異なる。
その点、ポケモンユナイトは俯瞰的視点での進行、戦略に基づき淡々とバトルをこなしポイントを貯めるプレイ感などが、LoLにもより近い。
MOBAはもともと、欧米のPCゲームから生まれてきたジャンルだ。専用ゲーム機におけるパッケージソフトを軸に成長した日本のゲーム市場とは、異なる環境の中で発展してきた。そのため、日本国内での認知やプレイヤー人口は、RPGなどの他ジャンルに比べ少ない。
世界に広がる巨大市場
ではなぜ、ポケモンは新作にあえてそのジャンルを選んだのか。念頭にあるのは、欧米や韓国、中国などに広がる巨大市場だ。
例えば前出のLoLは、2020年に17.5億ドル(約1900億円)を売り上げた(リサーチ会社・SupetData調べ)。高度な戦略性の問われるMOBAはeスポーツ競技としても人気が高く、海外では賞金総額が20億円を超える大会も開催されている。高額な賞金は市場の大きさの表れだ。
ポケモンユナイトはポケモン社と中国テンセントゲームズの子会社・Timiスタジオが共同で開発した初のタイトルだ。ポケモン関連のゲームソフトはこれまで、ポケモン社の立ち上げ母体の一社でもあるゲームフリークが主に開発してきたが、今回は関わっていない。
テンセントゲームズはLoLのライアットゲームズ、同じくアメリカのゲーム会社で『フォートナイト』を手がけるエピックゲームズを次々グループ化し、今や世界最大級のゲーム会社となっている。今回ポケモンユナイトを共同開発したTimiスタジオも、中国を中心に人気を博すMOBAゲーム『王者栄耀』の制作実績を持つ。
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