ポケモン、あえて「王道」外した新作ゲームの意味 日本では発展途上の「MOBA」に託した世界戦略

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ポケモンユナイトが目指すのは、MOBAを楽しむゲームプレイヤーのすそ野拡大だ。というのも、これまでMOBAは、コアなゲームマニアが好むジャンルという色合いが濃かった。

なにしろ、前述のとおり高度な戦略性が求められるうえ、人気のMOBAゲームはプレイキャラクター数が100体以上あるものも多く、勝利を目指すにはそれぞれの特性についての知識が必要になる。さらにプレイ時間も1試合20~30分と長い。あらゆる面で、初心者には敷居が高かった。

ポケモンユナイトはこうした敷居の高さを下げる工夫を凝らしている。開発チームは本ゲームについて、「従来の同種のゲームのルールにこだわらず、新しい『チーム戦略バトル』となるよう、イチから議論を重ねた」と話す。

例えば、ポケモンユナイトでは相手チームのキャラクターのほか、野生のポケモンも攻撃対象として登場する。これまで「画面の向こうの誰かを攻撃すること」が苦手な人はMOBAになじめない傾向もあったが、さまざまな活躍の道が用意されていれば抵抗感は低くなるかもしれない。

「見た目だけで想像できる」ことの利点

左上の全体マップで位置情報を確認しながらゲームを進める。相手プレイヤー(画面中央)や野生のポケモン(画面下)を倒すとポイントが貯まるほか、ポケモンが強くなりバトルにも勝ちやすくなる ©2021 Pokémon. ©1995-2021 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ©2021 Tencent.

そして圧倒的な競争力といえるのは、やはりポケモンという世界的IP(知的財産)だろう。

ポケモンのアニメは現在183の地域で放映されている。初めてゲームをプレイする人でも、それぞれのポケモンの特徴をある程度知っていれば操作を理解しやすい。「見た目だけでどんなバトルをするのかがなんとなく想像でき、すんなりと始められる」(開発チーム)。

ポケモンユナイトの展開はまだ始まったばかり。今後も機能のアップデートなどを随時行っていく予定だ。「コアユーザーも新規ユーザも”ユナイト(団結)”して楽しめるよう、公平性は心がけるが、気軽に遊べるということも非常に重要だと考えている」(開発チーム)。

MOBAという未踏のジャンルで日本のプレイ人口を拡大しつつ、世界市場で存在感を発揮できるか。

武山 隼大 東洋経済 記者

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たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

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