「老後2000万円問題」や先行き不安を背景に、投資を始める現役層が増えている。中でも注目されているのは国内外の投資信託だ。投資信託とは投資家から集めたお金を大きな資金にまとめ、運用の専門家が株式や債券に投資する商品。投資対象となる株式や債券の運用を指示する委託会社と、運用資産を保管、管理する受託会社に分かれる。
委託会社の顔ぶれは、野村證券など国内の証券会社、さらに世界最大の資産運用会社であるアメリカのブラックロックなど海外企業も含む。それらが、日本の信託銀行に管理事務を依頼して、日本企業に投資している。では最近、国内外の投資のプロが実際に注目し、買い増した日本企業はどこだろうか。
『会社四季報』大株主調査は国内取引所に上場している企業の本決算、第2四半期末時点の最大30位までの株主情報を調査している。
今回、東証1部上場企業を対象に、2020年10月から2021年3月までの期間の調査と、昨年同期とを比較して、この1年で投資信託に買われた企業のランキングを作成した。
上位の顔ぶれを見ると、プロが注目しているテーマは、不祥事からの回復、業績が好調、構造改革や環境対策に積極的な企業などが浮かび上がる。
トップは過去の不祥事から回復の企業
1位は日産自動車だ。ゴーン元会長が逮捕されて経営が混乱していたが、2021年3月期の売り上げはコロナ禍で減少したものの、固定費削減や新車投入の効果で、下期は営業黒字化しており回復基調だ。電気自動車の推進にも力を注いでいる。成長市場の中国で独自の電気自動車を投入して伸ばしてゆく方針だ。
2位の東京電力ホールディングスも、東日本大震災以降は低迷を続けているが、2021年3月期決算では最終損益は前年同期より回復している。今後は、再生エネルギー拡大や地球温暖化の原因となる二酸化炭素など、温室効果ガスの排出抑制に向けての取り組み「脱炭素化」への期待が高まる。
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