3位のソフトバンクは、コロナ禍でも業績が好調だ。2021年3月期の業績も売上高、営業利益、純利益が過去最高を記録。特に、コロナ禍でテレワーク関連の需要が増加し、好採算の法人向けが伸びた。巣ごもり需要で「Yahoo!ショッピング」などが好調なことも大きい。企業価値向上につながるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する仕組みも、評価されている。
構造改革を成功させた日本製鉄
次に、時代の変化を見据え構造改革に大ナタを振るっている企業がランクインした。
4位の日本製鉄は、粗鋼生産量で国内首位、世界3位だ。脱炭素を見据えた構造改革が光る。国内高炉を減らして固定費を大幅に圧縮、低水準の数量でも利益を確保できる収益構造に改めている。2021年3月には昨年来高値を記録し、その後発表した2021年3月期決算でも営業利益がV字回復している。今期もさらに伸びそうだ。
5位の日本取引所グループは、傘下に東京証券取引所などを持つ総合取引所グループだ。日経平均株価は2021年2月に3万円台まで回復、1990年8月以来30年半ぶりの高値水準を記録。コロナ禍に伴う市場変動で株式売買が増加、営業利益も伸びて2021年3月期決算は好調だった。今期は昨年とほぼ同水準の売買となりそうだ。ただ、安定的な市場運営や中長期的な成長に向けたシステム費用がかさみ、営業利益と当期利益は前年度比で減少の見通しだ。
6位の住友化学や9位の旭化成は、いずれも大手化学企業で、2021年3月期決算はいずれも上方修正を行った。住友化学は、半導体プロセス材料の出荷が増えたほか、在宅勤務需要を背景に、ディスプレイ関連材料も増加した。旭化成は、ヘルスケアセグメントで、人工呼吸器の需要が増加し、医薬・医療事業が伸びた。両社ともに、今期も自動車向け部材などの回復から、好調な推移を見込んでいる。
こうして見ると、コロナ禍であるからこそ、それぞれの企業の戦略が明確に浮かび上がる。優れた企業を見つけ、株主となることは、その企業を応援することでもある。プロの目利きも参考に、日本企業の中からお気に入りの会社を見つけてみてはいかがだろうか。
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