引退後もさらに挑戦「五郎丸歩」強い精神の作り方 ネガティブだった意識が変わった瞬間とは?

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五郎丸:ある日、過酷な練習が予定されていて、僕は“きっと死ぬほどつらい思いをするんだろう”って朝からものすごく憂鬱でした。でも、周りの外国人選手たちはあっけらかんとはしゃいでいて。

そうしたら、不意に豪雨になって練習自体が中止になったんです。嫌だった練習はせずに済んだけど、同じ時間を僕はふさぎ込んでいて、外国人選手たちは笑って過ごした。そこから、クヨクヨしても損だって思うようになりました。

マネジメントに携わることはチャンスでありチャレンジ

──五郎丸さんは今後、チームをマネジメントする立場で活動していくと明言されていますが、なぜそういった進路を選ばれたのでしょう?

五郎丸:確かに、現役引退後に監督やコーチを目指す選手は多いですが、僕は新リーグを軌道に乗せていくほうがチャレンジしがいがあると考えました。新リーグの開幕によって、企業スポーツの側面が強かった社会人ラグビーはプロスポーツへと移行していきます。僕の所属するジュビロも会社名を外したチーム名になりました。

そして、プロスポーツになるためには新たな取り組みが不可欠です。例えばチケット販売ひとつ取っても、収益を出していく道筋を付けることが肝心。マネジメントサイドにはまだたくさんの課題があるんです。

そんなタイミングで、自分の世界観を込めながらリーグを発展させていけることは、大きなチャンスでありチャレンジ。また、自分たちのようなマネジメントサイドで働く人材を増やすことで、ラグビー選手のセカンドキャリアの選択肢にもつながります。そういった取り組みにも多いにトライしていくつもりです。

(写真:トヨダリョウ)

──現役時代から前向きなマインドで挑戦を続ける五郎丸さんですが、それはやはりチャレンジを続けることこそカッコいいと感じるからなのでしょうか?

五郎丸:やはり、何かに向って努力を続けることはすばらしい生き方だと思っています。僕の周りにもそういう人がたくさんいます。とはいえ、大人としてのカッコよさを語るときには、もうひとつ別のスタイルがあるように思います。それはすべてやるべきチャレンジを終えて、余裕のある振る舞いができること。

チャレンジの真っただ中にいる人は、一生懸命すぎて周囲が見えなくなってしまうことがあります。でも、チャレンジを経た大人の男性は、頑張っている周囲の人たちにも優しい気遣いができるもの。そういったフォローまでキチンとできる人に出会うと、思わずカッコいいと感じますね。

●五郎丸 歩(ごろうまる・あゆむ)
1986年福岡県福岡市生まれ。3才からラグビーを始め、 高校時代は3年連続で全国高校大会に出場。ポジションはフルバック(FB)、早稲田大学では、1年時よりFBのレギュラーに。その後所属したヤマハ発動機ジュビロでもチームの軸として活躍。2015年にラグビーワールドカップ2015の日本代表に選出。16年シーズンよりオーストラリアのスーパーラグビー所属のレッズに加入。2021年にそのシーズン終了をもって現役引退を表明。現在は新リーグにおいてジュビロをプロ団体として確立させるため、マネジメントの立場からチームを支えている。
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