ラグビー日本のメンタル変えた女性の凄い手法

選手たちの「どうせ無理」はこうして変わった

2015年ラグビーW杯イングランド大会の際、メンタルコーチの荒木香織さんがチームの宿泊先で日本代表選手たちと撮った一枚(写真:荒木香織さん提供)

2019年のスポーツ界を席巻したラグビー日本代表。W杯初のベスト8で熱くなった人たちが「もう試合は見られないの?」と嘆いた「ラグビーロス」が解消される日がやって来た。1月12日、国内最高峰のトップリーグが開幕したのだ。

6会場で実施された8試合で、計11万6737人の動員数を記録。昨季の同リーグ開幕戦動員数(8万3719人)を3万人超上回り、今なお高いラグビー人気を示した。

日本代表はもちろん、W杯を機に他国のスター選手も躍動。「ブームではなく、文化に」が、今回活躍した代表選手たちのスローガンだ。

前回大会を踏まえて進化を遂げた「ONE TEAM」

「今まで、2015年の前回大会で見られなかった変化を感じている。ベスト8と成績が上回ったので当然と言えるかもしれないけれど、今回は人々の興味が選手個人よりもチーム全体に向けられていると思う」

園田学園女子大学教授の荒木香織さん(写真:荒木香織さん提供)

そう話すのは、エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ(HC)のもとでメンタルコーチを務めた、園田学園女子大学教授の荒木香織さん。

アメリカを代表するスポーツ心理学の権威らのもとで8年間研鑽を積み、その知見でラグビー日本代表を支えた。アジア南太平洋スポーツ心理学会副会長を務める、スポーツ心理学における日本の第一人者だ。

言われてみれば、前回大会では「五郎丸ポーズ」で知られる五郎丸歩選手ばかりにスポットが当たった。キックまでの動作、ルーティーンとしての“五郎丸ポーズ”の完成を手伝った荒木さんも、尋ねられるのは五郎丸のことばかりだった。2015年に流行語にノミネートされたのも「五郎丸ポーズ」だった。

だが、2019年の流行語大賞候補は、「ONE TEAM」「ジャッカル」など、チームとしてフォーカスされたものが並んだ。日本ラグビーは明らかに進化したと言えるのではないか。

荒木さんがジョーンズHCに請われてメンタルコーチに就任したのは2012年。日本代表選手には「世界と互角に戦うなんて、どうせ無理」というネガティブな思考が色濃かったという。

過去24年間、W杯7回の出場でたった1勝しかしておらず、代表に選ばれても辞退する選手さえいた。ファンも同様で、代表への興味は薄かった。テストマッチより大学伝統校の試合のほうが会場は埋まった。

そこで荒木さんがまず行ったのが、リーダー格の選手を6人から8人ほど選び、そのメンバーのマインドセットを変えること。「リーダーズグループ」という方法だった。

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