仏グルノーブル、入院患者数30%減の理由

在宅医療システム導入で、すべてが変わった

 フランスの南東部に位置し、山に囲まれた風光明媚な都市、グルノーブル。イゼール県の県庁所在地であるこの地は、多くの外国企業が研究開発拠点を構える“研究都市”としても知られている。エネルギー、情報通信技術、ヘルスケアの3分野で産官学一体の研究開発が進む。ヘルスケアの領域では高齢者中心に約800人の協力の下、3年にわたって在宅医療の実験も行われている。
 グルノーブルからこのほど、ミッションが訪日。厚生労働省や「シルバーエコノミー関連」の企業と意見交換を行った。イゼール県、グルノーブルの公立病院、産業クラスター(集積)などが出資する組織「TASDA」のディレクターとして在宅医療の発展などに取り組むヴェロニック・シリエ氏にフランスの同医療の現状などを聞いた。
TSADAのヴェロニック・シリエ氏(右)とグルノーブル開発公社のライフサイエンス分野担当のアドリーヌ・チコレラ氏

――日本では本格到来する高齢化社会への対応が喫緊の課題です。

興味があるのは、日本が高齢化について、どう組織的に対処しようとしているかということです。フランスでは現在、政府レベルと同時に県レベルでもこの問題に対処しています。それゆえ、首尾一貫したものがなくてはならない。

日仏とも、置かれた状況は変わらず

高齢者に施される資金面での支援にも難しい面があります。フランスでは国民皆保険制度の下で、病気になった人に対しては公的な医療保険から保険金が支払われます。つまり、ファイナンスを行うのは政府です。また、在宅での医療サービスを行うことができるよう費用を負担するのは県。さらには、リタイアすると、「疾病金庫(Caisse)」と呼ばれる機関があり、そこから年金が支払われるなど、仕組みは複雑です。

こうした状況は日本も同じですよね。実は両国とも似たような状況に直面している。日本のほうが高齢化の問題には若干デリケートではありますが・・・。

効率性を踏まえれば、垂直的なアプローチではなく、資金面での支援を水平的に統合させていくことが必要です。しかも、そうしたモデルは在宅医療の発展を促す新たなテクノロジーの開発・提供にも資するものではなくてはなりません。

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