仏グルノーブル、入院患者数30%減の理由 在宅医療システム導入で、すべてが変わった

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――在宅医療の実験にはイゼール県も前向きに取り組んでいますね。

イゼール県には大きな街があれば、小さな街もある。山もあり、農村もあります。農村には人が多く住んでいても医師は少ない。だから、遠隔医療のソリューションは欠かせません。

病院や大学のセンターなどが熱心に在宅医療などの研究に取り組んでいるほか、県も積極的です。同県に進出しているマイクロ・エレクトロニクス産業の研究開発のレベルもきわめて高く、実験には追い風になっています。

お年寄りへの丁寧なITサポートが重要

――実験では、「ITのツールを使いたくない」というお年寄りの方々も、少なくなかったのではありませんか。

それは「事実」であると同時に、事実ではない面もあります。問題の本質はテクノロジーではありません。高齢者などに寄り添い、教えてあげることが重要なのです。イゼール県での実験でも、タブレットを好む人もいれば、パソコンを使おうというお年寄りもいました。参加企業も非常に簡素化されたソフトウェアを提供してくれました。ボタンを押すだけでメールを送信したり、写真を送ったりすることができるものです。

要は誰かのサポートが大事。実験にはボランティア機関が参加し、年間で600人のお年寄りの手助けをしています。ちなみに、支援対象者の平均年齢は75歳です。

お年寄りはとても喜んでくれている。なぜならば、そうした新しいテクノロジーは高齢者が家から飛び出て世界と出会うことを可能にしてくれますからね。それが社会のダイナミズムなのです。

高齢化は“孤立化”の問題でもある。それは農村部だけでなく、都市部でも存在します。孤独を感じ、人と会わなくなる。そうすると、動かなくなるし、食欲も衰えてしまう。次第に病気になって、他者への依存度が高まる。そうした状況に陥らないようにするためには、社会のダイナミズムが必要。新しいテクノロジーがダイナミズムをもたらしてくれるのです。

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