好発進パナソニック、決算で見えた成長の芽 テスラのギガファクトリー共同建設にも合意

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4カンパニーのうち、白物家電を扱うアプライアンス社や、住宅関連のエコソリューションズ社も堅調だった。消費増税後の反動減が懸念されたが、「駆け込み需要に伴う市場在庫の減少の補充があり、反動減は想定より小幅にとどまった」(河井専務)。特にアプライアンス社の営業利益は前年同期比2倍に膨張。AVC社と同様、期初の通期計画を上方修正した。

ただ全社の通期計画は据え置いた。それはもう一つの社内カンパニー、車載機器などを担うAIS社の通期計画を下方修正したからだ。同カンパニーでは前期賞与カットを実施したが、これを戻したことで利益が圧迫された。ただ影響は一時的で、主力のリチウムイオン電池が米自動車ベンチャー、テスラ向けに好調を持続するなど、需要は堅調。事業自体に大きな懸念が見当たるわけではない。あとは第2四半期以降、白物や住宅関連で消費増税の反動減がどう出るかも、全社の業績に影響しそうだ。

 米テスラの工場に出資へ

パナソニックは決算発表の同日、テスラが計画するギガファクトリー(大規模電池工場)の建設協力での合意を発表。詳細な投資額や時期は未定だが、大型投資が見込まれている。過去、プラズマパネルの過剰投資が経営危機を招いただけに、市場には大型投資を懸念する向きもあるが、「BtoCとBtoBの投資は違う。あくまで需要に合わせた生産量を整える」(河井専務)としている。

BtoB主体の企業として、慎重だった投資にも動き出したパナソニック。18年度売上高10兆円の構想を掲げるが、そこへ向け、足元の14年度はひとまず好発進を切ったといえる。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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