【改正貸金業法】自己破産件数が増加の気配、6月18日の完全施行後に一段増も
近年、減少を続けてきた自己破産申請件数が増加に転じる気配を強めている。
最高裁が集計している全国の自己破産申請件数(月間)は2003年11月にそれまでの増加基調を脱し、前年同月比で減少に転じた。以後、09年10月まで72カ月連続で減少が続いていた。
その間、国内景気が好転したことに加えて、貸金業法の施行などで自己破産の前提となる個人の多重債務問題が解消に向かい、さらには、過払利息返還請求の効果もあったとみられている。
ところが、09年11月に自己破産申請件数は73カ月ぶりに増加。10年1月も微増となった。さらに最近の最高裁による集計では、2010年3月も1万1833件と前年同月比5・3%増、前月比では22・1%増という大幅の増加を示した。
絶対水準としては従来と比べて引き続き低水準にとどまっているとも言える。が、ここに来て、一環して減少していた基調に変調が見られるようになったことは事実だ。しかも、前月比ベースでは大きく増加しているだけに、この先、自己破産申請件数が本格的に反転するという見方が早くも広がりつつある。
貸金業法改正の完全施行を控えて、昨年来、貸金業者は与信審査を厳格化し、総量規制への対応から新規与信を絞り込んでいる。こうした状況が自己破産申請件数の動きに反映しているという見方もある。仮にそうであると、6月18日以降の同法完全施行後、さらに自己破産申請件数は増加しかねない。今後の動きに注視が必要だ。
(写真はイメージです。本文とは関係ありません)
(浪川 攻=東洋経済オンライン)
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