「スケボー女子」若年化が進んだ背景にあるもの 「レジェンド」が見たオリピック決勝の風景
金メダルは西矢が手にした。彼女は最後に3つのトリックを決め、高得点を挙げた。そのトリックはすべて、勝利のために必要なものだった。彼女は最年少に近い金メダリストである。最年少の称号は、1936年のベルリンオリンピックの飛込競技において、13歳と268日で金メダルを獲得したマージョリー・ゲストリングが持っている。西矢は、ゲストリングよりも14歳の誕生日を目前にしていた。
今回の大会では世代の逆流が押し寄せた。オリンピックがまさに求めている若いエネルギーで大会に揺さぶりを与えた。
「よくやってくれました」とサブローンは語る。
メダリスト3人の年齢合計は42歳
今回のオリンピックでは若者の、とくに女性の活躍が目覚ましい。さらに特筆すべきはスケートボード競技だ。出場選手中最年少はシリアの12歳、卓球のヘンド・ザザで、初戦で負けを喫した。
しかし、東京大会に出場しているアスリートを年少順に見ると、ザザに続く5人は、いずれも女子スケートボードの出場選手だ。水泳や飛び込みなど、ほかのスポーツにも若いアスリートは散見されるものの、スケートボードほど若い才能の層が厚い種目はほかにない。
女子ストリートの決勝に出場した8人のうち、4人が16歳以下だった。16歳の日本代表、中山楓奈は銅メダルを獲得した。メダリストの年齢の合計は42歳になる。世界のどこかでは市場調査員がこの新しい現象に意欲をかき立てられ、流行に疎い人の注目も集めただろう。
こういった現象は、より大きなビジョンへとつながっている。オリンピックで初となるスケートボード競技の開催は多くの支持を受けた。年齢に制限はなく、いちばん若い世代の視聴者が、テレビの画面に映る光景に自分たちの未来を重ね合わせるのを妨げるものは何もない。
とくに若い女性たちにとってその度合いは大きい。男子の競技と比べて金銭面、注目度や認知度でもまだ追いついてはいないオリンピックの女子スケートボード競技を、華々しく宙を舞うティーンエイジャーたちが席巻したのだから。
来週、スケートボードのパーク競技が開催されれば、さらに大きな波がやってくるかもしれない。コンクリート製のお椀状のコースへと滑り降り、飛び上がり、回転し、コースのへりから宙を舞う選手達の姿が見られるだろう。