何で私が?突然ビリチームを任された男の心の中 米海軍で屈指の潜水艦艦長が見せた圧巻の決意

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「とは言っても、たくさん交代させたほうがいいとは思っていない。乗員のためになるとは思えないからな。それよりも、いまいる人員とともに働くことを考えたほうがいい。配備までたった6カ月しかないのだから、代わりを見つける時間もあまりない」

私も同じように考えていた。そして結局、誰も代えなかった。

この決断は重要な役割を果たした。誰もクビにしなかったことで、問題は彼らにあるのではなく、リーダーシップにあるのだというメッセージが乗員一人ひとりに伝わったからだ。

私は、これまでと同じ乗員と同じ支援体制のまま、彼らの働き方や言動を変えることで艦の戦闘力を飛躍的に高めるという難題に挑むこととなった。

上等兵曹の力を引き出せるか

「とにかく、私と私が率いる戦隊全員の100パーセントの支援を保証する」とケニー代将は続けた。「配備に就く準備を整える君を全力で支えよう。艦に出向いていってあれこれ命令したりはしないが、君が必要とするものはこちらで用意しよう」

それから新人士官についての話になった。

新人士官は艦の中でほとんど存在感がない。訓練も十分ではなく、海軍を去っていく者も多い。初めて任務に就く彼らは、おそらく艦の中で最も軽んじられる存在だと言えるだろう。

潜水艦での業務や、士官としてどうふるまうかは、学校で習ったことを除けば、配属された艦ですべて学ぶことになる。新人士官の半数は海軍兵学校を卒業した若者で、残りの半数は予備役将校訓練課程を出た者だった。

さらに、班長についても話をした。各科の中が班に分かれていて、班員を束ねる班長を務めるのは上等兵曹だ。彼らに権限はなく、やる気もない。この12人の班長は以前も乗艦した先任の下士官で、いわば艦の中間管理職である。

上等兵曹の技術的な知識とリーダーシップが、艦の働きのカギとなる。彼らが持つ真の力を私が引き出せるかどうかにかかっている、とも言えるだろう。

●懐中電灯はいいものを持っていけ

サンタフェのような攻撃型原子力潜水艦は、軍事配備を展開するという目的で製造される。軍事配備は、母港から離れて6カ月という期間で展開される。

展開中、潜水艦はほぼ潜水したまま、敵かもしれない相手が活動していそうな場所で任務を遂行する。物資の調達や小規模な修理のために浮上して寄港することはあるが、6カ月で5万キロメートル前後を航行する。

危険海域において、潜水艦は最も有効な前衛プレーヤーなので、味方軍に守られてじっとしているということはない。ゆえに軍事配備を展開するときは、潜水艦も乗員も、メンテナンス、訓練、要員配置、物資の補給状態を完璧に整えておくことが求められる。

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