どうなるのか?「東京五輪後」の日本の財政収支 歳出改革を続ければ2025年度の黒字化は可能だ

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7月21日、経済財政諮問会議で発言する菅義偉首相(右から2人目)(写真:時事)

東京五輪が始まった。外国人の入国を制限し、ほぼ無観客での開催のため、経済効果は極めて限定されたものとなろう。

開会式前々日の7月21日、経済財政諮問会議で内閣府が「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)を報告し、2030年度までの経済財政の見通しを示した。

2025年度にPB黒字は達成できない

中長期試算は、例年1月と7月に改訂版が公表される。今回は6月に菅内閣が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)との関連で、試算結果がどうなるかが注目されていた。

骨太方針2021には「骨太方針2018で掲げた財政健全化目標(2025年度の国・地方を合わせたPB(プライマリーバランス)黒字化を目指す、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す)を堅持する」という文言が記載された。PB黒字化目標は閣議決定されており、今さらそれを破棄することはない。

さらに、「ただし、感染症でいまだ不安定な経済財政状況を踏まえ、本年度内に感染症の経済財政への影響の検証を行い、その検証結果を踏まえ、目標年度を再確認する」とも書かれている。

新型コロナによって経済的打撃を受けたため、骨太方針2018で掲げた2025年度の財政健全化目標は達成できないと以前からみられていた。コロナ前に出された中長期試算でも、2025年度にPBは赤字になるとの試算結果しか示されていなかった。

では、今回の中長期試算ではどうなったか。2020年代の名目経済成長率を3.5%前後と想定する「成長実現ケース」において、PB黒字化は2027年度に達成される。2021年1月の中長期試算では2029年度だったのが2年早まっている。

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