2022年度に1兆円弱の追加的な歳出削減が行われると、この効果は2023年度以降も毎年度効果が継続する。2023年度には追加的に1兆円弱の歳出削減が行われると、2023年度は2021年7月試算と比べて歳出を2兆円弱少なくできる。
こうして2025年度まで追加的な歳出改革を継続すれば、累積した歳出抑制は3兆円強となる。2025年度の歳出は、2021年7月試算と比べて3兆円強少なくできる。そうなれば、成長実現ケースで2025年度2.9兆円の赤字は解消できるメドが立つ。つまり、2025年度のPB黒字化は達成可能となる。
4年間連続の歳出改革が不可欠に
ただし、その達成のためには、2022年度予算編成から4年間連続して追加的な歳出改革に取り組み続けることが必要である。加えて、成長実現ケースが想定するように、名目経済成長率は3.5%を超える水準が続かないといけない。
成長実現ケースは以前から、日本経済の見通しとして楽観的すぎると批判されていた。歳出改革と経済成長を両立させる必要がある。
経済成長率についてより保守的な見通しであるベースラインケースは、7月試算では2025年度のPBは7.9兆円の赤字。2028年度には6.0兆円の赤字まで改善するが、2030年度までにはPB黒字を達成できない。ベースラインケースでは成長実現ケースほど税の自然増収を期待できず、その分だけ財政収支は成長実現ケースよりも悪化する見通しとなる。
前述のように、財政健全化目標の達成年次については、東京五輪後の2021年度内に再確認することが骨太方針2021で閣議決定されている。経済成長率をどう想定するかによって税の自然増収の多寡が決まる。
目標達成年次の再確認に際しては穏当な経済成長率に基づきつつ、歳出改革で妥協することなく、PB黒字化の達成を図っていくべきである。
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