多くの大企業にはまだ根強い年功序列の慣行があるが、新卒一括採用を複線的、多様な通年採用に改革し、年齢を問わず適材を適所に配置することが求められる。そしてリカレント教育の機会、副業や起業での社会貢献の支援など、従業員の多様な生き方を許容し、その潜在能力を生かす環境を作る必要がある。
コロナ禍で顕在化したデジタル化やワクチン開発の遅れは、日本の革新力の停滞を改めて感じさせるものであった。実際、日本のソフトウェア、知的財産、人的資産といった無形資産投資の対GDP(国内総生産)比の水準は、他の先進国に比べて低い。
その意味でも、大学や企業等での人材の育成は、今後の日本にとっていっそう重要な課題である。投資家が、長期的企業価値向上、サスティナビリティの視点から人的資本の育成を企業経営者に対して働きかける動きにも今後大いに期待したい。
女性が活躍しやすい社会に変革する
なかなか変われなかった日本の構造的問題が、経済の底力である付加価値生産性上昇率の低迷や、少子化に表れているといっても過言ではない。この両方を改善していくためには、女性が活躍しやすい環境の整備や男女の賃金格差是正も重要だろう。図のとおり高等教育を受けた男女の経済的リターンの格差はOECD諸国で最大であり、日本の損失の大きさがわかる。
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