キャリア官僚が霞が関を捨て「地方移住」したワケ 兵庫県豊岡市で「地域おこし協力隊」として活動
地域おこし協力隊は、総務省により2009年に創設された制度だ。その推進要領に、制度の趣旨がこう書かれている。
「人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域力の維持・強化を図るためには、担い手となる人材の確保が特に重要な課題となっている。一方、生活の質や豊かさへの志向の高まりを背景として、豊かな自然環境や歴史、文化等に恵まれた地域で生活することや地域社会へ貢献することについて、いわゆる『団塊の世代』のみならず、若年層を含め、都市住民のニーズが高まっていることが指摘されるようになっている。
人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることは、都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化にも資する取組であり、有効な方策と考えられる」
任期はどのくらい?
地域おこし協力隊の任期は、おおむね1年以上3年以下。地方自治体から委嘱を受け、地域で生活する。活動内容はさまざまだが、観光資源の企画・開発や高齢者の生活支援、空き家・空き店舗対策、移住者支援、農畜産業・林業・漁業への従事など、文字どおり「地域おこし」の活動をする。
地域おこし協力隊は、その趣旨に「地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることは、都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化にも資する取組」とあるように、都市部から地方への人の流れを作ることも主たる目的だ。
そのため、地域要件が定められており、地域おこし協力隊に応募できるのは転出地が3大都市圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県および奈良県の区域の全部)の都市地域と、全国の政令指定都市に限られる。
3大都市圏外で、政令指定都市に含まれるのは、札幌市、熊本市、仙台市、新潟市、静岡市、浜松市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市だ。
ただ、いずれの地域であっても、転出地が過疎地域自立促進特別措置法や離島振興法の対象地域を有する市町村の場合、対象からは外れる。一方の転入地の要件は、3大都市圏外のすべての市町村と3大都市圏内の条件不利地域となる。
地域おこし協力隊創設初年度の2009年度は隊員数89名、31団体だったが、集計のある直近の2019年度までに隊員数5503名、1071団体にまで拡大。
政府の「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」では、地方移住推進策の一つである地域おこし協力隊の拡充を挙げており、隊員数を2024年度までに8000人まで増やす方針(2020年7月17日閣議決定)だ。
「東京を捨てたい、でも仕事が……」と逡巡する人にとっては、一度、検討してみてもよい選択肢かもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら