糖尿病を「太っている人の病気」と信じる人の盲点 知らぬ間に進行している「かくれ高血糖」の恐怖

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痩せていても糖尿病になる可能性があります(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)
糖尿病は決して、メタボ、肥満の人だけの病気ではないことをご存知でしょうか? 「痩せている人でも糖尿病になる理由」を、テレビでも活躍する話題の医師・池谷敏郎氏の新刊『健診・人間ドックではわからない!かくれ高血糖が体を壊す』より一部抜粋・再構成してお届けします。

たいして太ってもいないし、血糖値も高くない。糖尿病だなんて言われたこともない。そういう人でも、食後、ゆっくりとくつろいでいるあいだに体のなかでは血糖値が急激に上がり、血管を傷つけ、血管の老化を進めているかもしれません。

「かくれ高血糖」が大きな病気につながる

そんな「かくれ高血糖」の人が増えています。こちらのグラフを見てください。

出典:『健診・人間ドックではわからない! かくれ高血糖が体を壊す』(青春出版社)

体温や血圧が一日のなかで変わるように、血糖値も一日のあいだに変化しています。どんな人でも血糖値が上がるのが、朝食後、昼食後、夕食後という「食後」です。糖分を体内に取り入れれば、血糖値も上がるので、間食や夜食のあとにも上がっています。

ただ、その上がり具合は、人によってかなりの差があるのです。3つの折れ線グラフのうち、全体的に高いのが「糖尿病の人」、全体的に低めでゆるやかな山を描いているのが「健康な人」ですが、気になるのが食事のたびに一時的にグーンと上がってまた下がることを繰り返しているグラフです。こうした血糖値の急激な上がり下がりを「血糖値スパイク」または「グルコーススパイク」と言います。

このタイプの人は、健康診断で血糖値を測っても、ほぼ見つかりません。通常、健康診断では「前日の夜から何も食べないで来てください」と言われますよね。健康診断で測っているのは、空腹時の血糖値、あるいは「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」と呼ばれる過去1〜2カ月の血糖値の平均をあらわす値です。これらの値だけでは、「食後、血糖値がどうなっているのか」はわかりません。

食後に血糖値スパイクを起こしていても、食後2〜3時間のみ急激に上がってまた正常範囲に戻っていくので、空腹状態で血糖値を測ったら、健康な人と同じような結果が出るのです。

また、一日に何度か血糖値が高くなるとはいえ、ならせばそんなに高くはないので、HbA1cも引っかかりません。医者からは「ちょっと高めなので、食事と運動に気をつけましょうね」と言われて終わりでしょう。

ところがジェットコースターのように血糖値が上がったり下がったりを繰り返している人ほど、心筋梗塞や脳卒中といった大きな血管病を起こしやすいことが最近、ハッキリしてきました。

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