糖尿病を「太っている人の病気」と信じる人の盲点 知らぬ間に進行している「かくれ高血糖」の恐怖

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糖尿病は、血液中のブドウ糖が全身の細胞に取り込まれずに血液中にあふれたままになっている状態のこと。ただし、糖尿病を発症しても初期には自覚症状はほとんどありません。

妙に喉が渇くとか、トイレの回数が増えるとか、食べてもやせるといった症状が出てきて「おかしいな」と思いはじめたときには、すでに血管の老化が進んでいて、網膜症や腎症、神経障害、脳梗塞といったさまざまな血管の病気(合併症)を引き起こしてしまうことが多いのです。

なぜ糖尿病は怖いのか?

血管の老化によって引き起こされるこれらの合併症こそが、糖尿病が恐れられる理由です。ところが、「かくれ高血糖」で血糖値が急上昇・急降下を毎日毎日繰り返している人は、糖尿病になる前からすでに血管の老化が進んでいます。

糖尿病で恐れられている血管病の発症に向かって、すでにスタートを切ってしまっているのです。

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血管病の代表が、心筋梗塞、脳卒中です。「血糖値スパイク=食後高血糖」が起こっている人は、たとえ空腹時の血糖値が正常であっても、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなることが国内外の研究で明らかになっています。

たとえば、山形県舟形町の40歳以上の住民を対象に7〜10年間追跡調査を行って心血管疾患による死亡リスクを調べた研究では、食後高血糖がある人は、ない人に比べて心血管疾患による死亡リスクが高いことがわかりました。

一方で、空腹時血糖値のみが高い人は、正常な人とほぼ変わりませんでした。つまり、健康診断で測るような空腹時の血糖値よりも、健康診断ではわからない食後高血糖のほうが、血管病の発症や、それによる死亡リスクに深くかかわっていたということです。

池谷 敏郎 医学博士/池谷医院院長

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いけたに としろう / Toshiro Iketani

1962年、東京都生まれ。医療法人社団池谷医院院長。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。著書に『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』(三笠書房)、『「血管を鍛える」と超健康になる!』『血管の名医が教える15歳若返る習慣』(ともに知的生きかた文庫)などがある。

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