50代から「幸せな人生」送るために手放したい事 幸せな人とただ痛い人の差はどこでできるのか

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むしろ50代に求められるのは、「スキルの絞り込み」だというのが私の考えです。今までいろいろなスキルと向き合ってきて、自分なりに「これは得意だ」「これは苦手だ」というものがあったと思います。

そのうちの「得意なもの」だけに集中し、あとのものは捨て去ってしまう。人を引っ張っていくのが苦手なら、もうそれは諦めてしまう。どうしても数字が苦手なら、もういっそ数字は読まなくていいと達観する。50代以降は「苦手なものをなくす」という発想をやめてしまうということです。

外資系企業で働くMさんの例です。Mさんの会社はもともと日本企業だったのですが、会社が外資系に買収されたことでアメリカ企業の傘下に。最初は英語の勉強もしたそうですが、どうも根本的に向いていない。そこで開き直って「もう自分は営業力一本でいく」と決めたそうです。すると、そんなMさんの営業力が評価され、会議の際は専属の通訳すらつけてくれることになったそうです。「中途半端に英語を勉強しなくてよかった」とは、Mさんの弁です。

交渉力、雑談力、段取り力、数字を読む力、論理的思考力、営業力、リーダーシップ……ビジネスにおけるスキルは山ほどありますが、50代になったら一度「自分の得意なものは何か」をぜひ、考えてみてください。そして、それ以外のスキルはあえて「捨てる」。もちろん、勉強したいのならばすればいいとは思いますが、「広く浅く」からは脱却すること。それが50代には必要なことなのです。

50代になったら「イヤな奴」とは付き合わない

イヤな上司、生意気な部下、いけ好かない同僚……。「職場の人間関係」は、つねにビジネスパーソンの最大の悩みです。

しかし、それを会社に訴えたところで、明確なパワハラでもない限り、「もう少し我慢できないか」「部下をうまく使うのが上司の仕事だろう」と、取り合ってもらえませんし、「トラブルメーカー」との烙印を押されてしまう可能性もあります。そんな「人間関係のトラブルはなるべく我慢する」という常識も、50代になったら捨て去りましょう。私は「50代になったら、イヤな奴とはつき合うな」と言い切ってしまいたいと思います。

ある会社で、補助金申請のエキスパートとして働いていたNさんの話です。ご存じのように補助金の申請というのは手続きが複雑で、「わざとわかりにくくして、補助金を諦めさせるのが狙いではないか」と揶揄されるほどです。Nさんはその豊富な経験を生かし、取引先の顧客が行政からのさまざまな補助金を獲得できるよう、状況分析から提案、申請書作成までの実務を担当していました。

そこにあるとき、親会社を役職定年になったある人物が、Nさんの同僚として異動してきたのです。

ところが彼は、収入が減ったことが不満なのか、あるいは子会社の慣れない業務が不満だったのか、そもそも出向自体が不服なのか、仕事に対して非常に投げやりな態度を取り続けたのです。

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