「お金より時間」優先の転職・就活が幸せを導く 給料中心で仕事を決めても幸せにはなれない

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出世コースに乗っていたので、この仕事にとどまれば、2年のうちにはさらに昇進できた。転職すれば収入が減るのは承知していたけれど、もっと幸せを感じたかったし、アカウント・エグゼクティブのような、自分がもっと楽しめそうなキャリアに移りたくもあった。

おそらく、もう選択肢はおわかりだろう。もっと幸せだけれど給料が少ない仕事に替えるか、今の職にとどまり、厖大な時間を奪われ、さらに大きなストレスをもたらす出世コースを進み続けるかの、どちらかだ。

「お金優先」の学生より「時間優先」の学生が幸せだった

人生のさまざまな時点ごとに、優先事項も違ってくるし、どれだけタイム・リッチかも変化する。もしあなたが、多額の借金をしたり、住宅ローンを抱えたりすれば、時間のコスト、あるいは幸せに対するコストをともなう、望ましくない仕事でも、高い給料を得るためにはしかたないと思うかもしれない。

私たちがタイム・プアな決定を下す理由の1つがそれだ。他にも理由は考えられる。けれど、自分の人生にどんな影響が及びうるかをはっきり知るために、その決定のもたらす結果を理解しておくことが重要だ。若い人は、できるだけ給料が多い仕事に就く可能性が極端に高いことが、調査からわかっている。そして、それで必ずしも幸福感が増すわけではないこともわかっている。

「テイラーとモーガンの質問」を使って、私は共同研究者たちとともに最近ある調査を行った。テイラーとモーガンという2人の人物の説明を読み、どちらが自分に近いかを判断してもらい、時間とお金についてどう考えているかを把握してもらう質問だ。

テイラー
お金よりも時間を大切にする。もっと時間を手に入れるためなら、喜んでお金を犠牲にする。たとえば、収入は減っても勤務時間が短いほうが、長時間働いて収入を増やすよりもいいと思っている。
モーガン
時間よりもお金を大切にする。もっとお金を手に入れるためなら、喜んで時間を犠牲にする。たとえば、長時間働いて収入を増やすほうが、勤務時間を短くして収入が減るよりもいいと思っている。

この「テイラーとモーガンの質問」で、卒業間近の大学生1000人以上に、時間とお金のどちらをたいてい優先するか尋ねた。また、人生の満足感と日々の幸福感についても尋ねた。そして2年後、幸せに関する同じ質問に、もう一度答えてもらった。

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