浜松町駅「世界貿易センター」再開発で何が変わる 羽田アクセス線で役割低下、好立地の活用が鍵

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東京モノレールのモノレール浜松町駅は1964年に開業した。ただ、現在のように1日平均で約6万人近い乗車人員がある駅にまで発展するとは、当時は予想していなかったのか。ずっと線路1本、乗車と降車が分かれた2面のホームだけで利用客をさばいてきた。ラッシュ時には4分間隔で列車が発着しているが、それが限界に近い。

浜松町駅に到着する東京モノレール(筆者撮影)

同社では、モノレール浜松町駅の複線化を「悲願」としてきた。それがようやく、今回の改築でかなう。ただ間が悪いことに、親会社であるJR東日本が東京駅と東京国際空港を直結する「羽田空港アクセス線」を計画しており、2029年度に開業する予定だ。せっかくのモノレールの駅設備強化ではあるのだが、2年ほどで、主力である空港利用客の多くが流出する事態も考えられる。

将来は、東京モノレールも通勤輸送へと軸足を移すであろう。現在、駅間距離が長いモノレール浜松町―天王洲アイル―大井競馬場間における、新駅の設置も課題となってくるかもしれない。ただ、国際線が成田国際空港から東京国際空港へ移る傾向は続いているから、空港に直結する浜松町の利点は、ビジネスパーソンにアピールできる。

すぐそばの都営浅草線大門駅からは、成田、羽田両空港への直通列車も発着している。コロナ禍後、再開発完成後の、国際拠点としての浜松町の地位確保は期待できそうだ。この点、東京都内の他の地区に対するアドバンテージになりうると考える。

観光資源に活用の余地

2021年7月12日にJR東日本が発表した、浜松町二丁目4地区の都市計画変更手続きでは、従来うたわれていた交通結節点強化、国際交流拠点形成などに加え、観光プレ体験機能の整備、国際水準の宿泊施設、DMO(観光地域づくり法人)活動拠点整備が加えられた。ビジネスのみならず、観光客の迎え入れにも力点を置こうとの計画と見受けられる。ただ、浅草や渋谷と比べられてしまうと、いわゆる「インバウンド客」の間での浜松町の知名度はそれほど高くはあるまい。

金杉橋からの風景。屋形船の奥に山手線の電車が見える(筆者撮影)
浜松町駅を出発する山手線電車(筆者撮影)

もし、観光目的地としての知名度向上を図るなら、駅に隣接している旧芝離宮恩賜庭園、あるいは増上寺といったトラディショナルなエリアをアピールする必要があるだろう。屋形船が発着し、山手線などの電車とからめた情景写真が撮れる金杉橋も、浜松町駅南口からほど近い。

現在のJR浜松町駅には、南口、北口と2カ所に改札口があり、そのうち南口は線路上にある橋上駅舎となっている。また、南口の横にはモノレール浜松町駅と直接、乗り換えられる、のりかえ口もある。駅のシンボルである小便小僧は、山手線外回り・京浜東北線南行が発着する3・4番線ホームの田町側の端にある。

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