なお一時保護所では、子どもたちは「高校に進学しないと児童養護施設に入れない」と言われていたそう。それなのに受験生でも学校には行かせてもらえず、就寝時間もほかの子どもたちと同じ21時でした。一緒に入所していた子が「勉強する時間がない」と言っていて「かわいそうだと思った」と振り返ります。
コロナ以降、アルバイトも見つからなくなった
ららさん自身は、高校は受験しませんでした。小6から中2の頃までほぼ不登校で、LD(算数の学習障害)もあるため、受験は厳しかったからです。高校は通信制の学校に進み、いまは父親の名義で借りた部屋で、ほぼひとりで暮らしているということです。
いまららさんが最も心配しているのは、もうじき国民健康保険が使えなくなってしまうかもしれないことです。コロナの影響などにより、親が国民健康保険税を滞納しているためです。彼女は現在、うつ病の通院を続けているほか、メニエール病、極度の月経困難症や貧血、その他いくつもの持病を抱えており、保険が使えなくなると大変なことになってしまいます。
しかもららさん自身も、最近はアルバイトを見つけづらくなってしまいました。昨年コロナが流行しだしてからは急に、日本人を優先採用する雇用主が増えたため、連続8回も面接に落ちてしまったといいます。とはいえ、保険なしで病院に通えるような余裕はありません。筆者がららさんと一緒に役所に問い合わせたところ、いったんは短期被保険者証が出るとのことでほっとしましたが、手元に届くまでは、見届けたいところです。
来年春、ららさんは成人します。先の民法改正により、2022年4月1日の時点で18~20歳の人は、この日、一斉に成人するのです。成人したら、なるべく早く、日本の国籍を取得したいと考えています。
ららさんはいま、趣味を通して知り合った年上の男性と付き合っており、日本国籍を取れたら結婚も考えているとのこと。彼のことを話すときはやたらと照れて、うれしそうな様子です。心配そうな筆者に対し、彼は「本当にいい人」で、収入もあるし、ご両親にも挨拶しているのだと話します。
いくぶんホッとしましたが、それでも安心はしきれません。本当にいい彼氏なのだろうとは思いますが、女性がパートナーの稼ぎだけを頼りに生活するのは、とてもリスクが高いことです。「体調が落ち着いたら、自分の稼ぎもしっかり確保してね」と、ついしつこく念を押さずにはいられないのでした。
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