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デジタル庁が担う「デジタル敗戦」からの抜本脱却 理念と法的役割の定義、強力な人材確保が必要だ

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これまで、民間主導、いや、ほとんど民間の手によって進められてきたわが国のデジタル社会形成を、新しい官庁が積極的に関与してすすめるためには、基本理念の明確化と法的な役割の定義、そして、強力な人材の確保の3つの変革が必要だ。

最初の2つは基本法と設置法によって実現できるとしても、この革命的な役割を果たす人材の確保の方法を確立しなければならない。事業性と運用性を内包する新しいタイプの官庁として、専門性と成功経験を持った自信に満ちた民間の最優秀な人材を配置する必要がある。しかし、わが国の公的機関として、そのような人材の適切な給与体系を提供できないだろう。ならばそれを補完して余りある価値を組織として創造しなければならない。

官と民の間を人材が行き来する機関としても期待

企画を実装する質の高い設計、高度に安全なシステム、国民に貢献できるサービス、持続的な運用、に携わることができる組織となれば、デジタル庁は民間や個人にとっての最高の自己成長のわが国唯一の組織となりうる。そこで、民間とのリボルビングドア(回転ドア)としての人事交換ができれば、官と民の間を行き来する人材が増え、デジタル庁が高度な水準で人材を確保し続けられる可能性がある。

インターネットの空間はグローバル空間である。これに関するグローバル・ガバナンスを先導するためには、同盟国をはじめ、志を共有するパートナー国との信頼を確立する十分な議論を日常的に行う必要がある。このことが一対一の「デジタルポリシー連携」の相手国を広げることができるし、そこから、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)やQUAD(日米豪印戦略対話)、OECD、G7、G20へとのマルチへの提案を作り上げていくことにも貢献できるだろう。

そのための人事政策として、国際活動ができる人材を配置することはもちろん、職員の英語でのコミュニケーションの徹底化、適切な国際アドバイザリーの招集、国際機関との積極的な人事交流などの実行も強く求められるのである。

(村井 純/API地経学研究所所長、APIシニア・フェロー、慶應義塾大学教授、慶應義塾大学サイバー文明研究センター共同センター長)

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