デジタル庁が担う「デジタル敗戦」からの抜本脱却 理念と法的役割の定義、強力な人材確保が必要だ

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また、わが国のデータセンターは完全に一極集中、わずかに大阪や中部、福岡に分散されているのが現状である。これは、ビジネスの規模に近い場所という合理性が理由である。デジタル庁が国としてのデータの安全保障を含む全体のマクロな視点を持つならば、他の関連省庁とともに、重要インフラストラクチャーと位置づけて、全国規模での適切な分散を図ることが急務である。

そのためには、新たな光ファイバーの整備、再生可能エネルギーの積極的な採用、海底ケーブルの陸揚げ拠点など、エネルギー政策とデータ政策の合成政策を数年内で明確な計画を立てる必要がある。

サイバーセキュリティ

わが国のサイバーセキュリティにとって、地経学的な経済安全保障や国家安全保障に関わるリスクの分析や予想を行い、それに対応する先端の技術と運用に関する体制の整備は喫緊の急務である。デジタル庁は現在の政府の体制では不十分な機能を補完しつつ、既存の機能と連携しなければならない。

そのためにも、国家安全保障会議などにおける議論に関するデジタル庁の位置づけを明確にする必要がある。現行法でも首相はデジタル大臣を会議に参加させることは可能だ。国内の国家資産であるデータの管理や個人情報に関わるシステムの運営を担うデジタル庁は最高の品質で、それらを運用し、守る必要がある。今、デジタル庁に求められるデータの量と質はわが国がかつて管理したことがない規模となり、その使命の重大さも前例がない。したがって、わが国の国家安全保障体制の一部として関連ある機能と密に連携する環境を整えねばならない。

人材

官公庁のITシステムの発注と設計・実装・運用の分離は深刻な問題を提起し始めている。官公庁側では、発注するだけ、丸投げされた事業者がその発注に従ったカスタム化されたシステムを構築し運用する。こうした体制では、国や行政は責任を持った安全なデータの管理は困難であるし、データの流通や安全で有効な共有ができない。

この問題を解決するためには、デジタル庁が、24時間365日のコアシステムとしてのネットワークと情報システムの設計、実装、運用を自ら行い、さらにその健全性、安全性、脆弱性の監視と評価の体制を整備すべきである。

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