「やたらと気を遣う」若者は、誰が作ったか? 尾木ママに聞く「激変した若者の10年」

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全国津々浦々に、「便所飯」がいる

原田:ちなみに、その新しい学力観というのは、いわゆるゆとり教育とは違うのですか?

尾木:違うんです。ゆとり教育とは関係ないの。

1994年の教育白書で、学校5日制をゆとり教育の総仕上げとして導入する、みたいな表現がされている。学校5日制というのは、当時、総理大臣だった中曽根さんが、プラザ合意で認めたことなんですよ。当時、日本企業の勢いがすごかったので、日本の労働時間を短縮しろっていう外圧がかかりましてね。それで国家公務員と、それから教師も1992年から週休2日になったと。そこから始まったのがゆとり教育。

原田:経緯がまったく違うわけなんですね。それにしても、先ほどの「新しい学力観」によって、周りにすごく気を遣う子とか、過剰にアピールする子が増えたということですね。

尾木:そう。彼らはすごく素直なんだけれども、友達関係がきちっとしていなかったりするわけです。それから、2つめの変化なんですけど。2008~09年あたりかな。「便所飯」っていうのが出てきましたね。

原田:はいはい。

尾木:便所飯については、僕もけっこう調査しましたよ。都内の私立大学から地方の国立大学まで行きましたが、どこでも、やっぱり「便所飯」がいるわけです。

大人には、一緒に食べてくれる友達がいないからトイレでひとりで食べているんじゃないかって、短絡的にとらえられるんですけれど、真理は違うんですよね。ネットが普及して、誰とでもつながれる時代において、ひとりで学生食堂に入ってくるのは、「あいつひとりなんだ」と、ありえない現象に見えるわけですよ。

僕らの時代はひとりでご飯食べて、偶然、学食で一緒になったり一緒に食べたりはしますけども、誘い合うのはあまりなかったですよね。

でも今の学生は、「第1学食の端っこで座席確保してるからおいで」とか、メールやLINEで連絡を取り合うんですよ。だけど、学食にひとりでぽつっとやってくるのは、LINEのグループの中に入っていない、友達ではないということかな、と思われる。それが嫌だから、みんなの中にひとりで行けないのです。トイレに見に行ってみると、けっこう、食べかすが残ってますよ。

原田:へええ。

尾木:みなさんの大学もありません? 「便所飯」してる子はいない?

大塚(大学生):実際には知らないですけど、ツイッターとかで、「今日ひとりで○○行っちゃった」って言う子はよく見かけますね。「ひとりでランチに行っちゃった」って。

原田:ああ、もう自虐ネタみたいに、みんなに宣伝しちゃうんだ。

尾木:なるほどね。そうか、ツイッターが入ってきたからそんなことに。

大塚:そうすると誰かが反応してくれるので、ひとりじゃない感じがする。

尾木:実際はひとりなんだけれども、架空の「ひとりじゃない感」があるんだ。

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