アフリカで大成功!先進国発「ユニコーン企業」 既得権益が少なく、最新テックが蛙飛びで浸透

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babylon/babelは「世界で最も先進的な医療プラットフォームを構築し、診断をより手軽にし、個人に対応した健康診断や治療を世界に提供する」ことを目標にしています。従業員数は170人ほどですが、2020年にはすでにユニコーン企業(時価総額10億ドル超のベンチャー企業)になっています。

日本は医師が約28万人、人口1000人当たり2.4人いますが、ケニアでは0.2人、エチオピアで0.1人。日本の25分の1ほどしか医師がいません。近くの医者に行こうとしても、バスに乗って数時間、なんてケースもざらにあります。

そこで、地域のヘルスセンターと遠隔診断を活用することにしたのです。2019年当時で1日に約2000コールあったそうですが、最終的に病院を紹介したのは17%だったそうです。83%はこの遠隔診療で完了したのです。

つまり、本来なら100人病院に行っていたところが、17人まで減らせた。大変な医療の効率化につながった。いずれは、このノウハウが先進国に広がっていく可能性があります。アメリカの大手の保険会社がこれに注目し、これを自社の北米の保険ユーザーに利用してもらうことを検討しているそうです。それによりbabylon/babelがユニコーン企業になったのです。

もし、これを日本でやったらどうなるか。外来が83%減ったら大騒ぎです。だから、アフリカから事業をやる、とも言えます。

15分で血液や医療品を運ぶドローン

次にご紹介したいのが、サンフランシスコの企業で、ドローンの商用物流サービスをルワンダとガーナで行っている「Zipline」です。事業はドローンを利用した血液や医薬品などの物流事業。いわゆる、ドローンデリバリーですが、こちらもすでにユニコーン企業になっています。

ドローンといっても固定翼型で、発射台(カタパルト)から飛び出していくと後は自動で飛び、自動で戻ってくる自律飛行型ドローンです。最高時速80km、ルワンダでは平均15分で病院に到着、パラシュートで血液や医薬品を落下させて自律運転で帰還します。

固定翼のため天候の影響が少なく、約1.8kgまでの製品を1度に配送可能です。血液バッグなら3つ。ドローン専用空港が、ルワンダに2カ所、ガーナに4カ所あります。1つの空港で半径80kmの範囲をカバーしています。2019年当時、1日200フライトの商用物流をしていたそうです。

仕組みは単純。アプリで病院から注文を受けると、積み荷を胴体に入れ、配達先を入力、発射台に乗せてボタンを押せば、自動で飛んでいきます。

ルワンダでは、2つの専用空港でほぼ全土をカバー。ルワンダで必要な血液の約6割の輸血血液をZiplineが配送しているそうです。

どうして血液をドローンで運ぶのかというと、アフリカにはまだ血液を病院にストックしておく仕組みが不十分で、道路のインフラも脆弱だからです。よって、空港近くの2カ所のセンターにストックしておき、そこから全土にZiplineが運ぶのです。

しかも、使われているのは「全血」です。先進国では成分輸血です。赤血球や血小板などを分けています。しかし、アフリカにはまだ成分を分ける機械が十分にない。全血は傷みやすく、保存期限は短い。よって、センターでまとめて保管して、全土に配送しているのです。さらに地方は未舗装道路も多く、雨期は道がドロドロになり、バイクでの配送も時間がかかります。

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