飛行機で200万マイル貯めて宇宙旅行という裏技 一般の人が宇宙へ行く道のりはまだまだ険しい

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仮に2021年を「宇宙元年」としても、もちろん誰でも気軽に宇宙に行けるようになるわけではない。最大のネックはいうまでもなく費用である。宇宙旅行にはいくらあれば行けるのだろうか。

4つの宇宙旅行の概要をまとめてみた。

会社: ヴァージン・ギャラクティック 
費用: 25万ドル(約2750万円)
宇宙船: スペースシップ2 
定員: 8名(乗員2名・乗客6名)
高度: 約80km以上
滞在時間: 無重力体験は約4分・総飛行時間は約2時間
会社: ブルーオリジン 
費用: 非公開だが20万ドル(約2200万円)とみられる
宇宙船: ニューシェパード 
定員: 6名 
高度: 約100km
滞在時間: 無重力体験は約3分・総飛行時間は10~15分
会社: アクシアム・スペース 
費用: (非公開だがISSまでの往復フライトは5500万ドル(約60億5000万円とみられる)
宇宙船: クルードラゴン(スペースX) 
定員: 4名
高度: 約800~1200km
滞在時間: 地球周回旅行を3日間
会社: スペースアドベンチャーズ 
費用: 3700万ドル(約40億7000万円)
宇宙船: ソユーズ 
定員: 3名
高度: 約400km
滞在時間: ISSでの8日間滞在を含む10日間

2000万円でもハードルは高い

一目瞭然なのが、同じ宇宙旅行といっても、上の2つ(ヴァージン・ギャラクティック/ブルーオリジン)と下の2つ(アクシアム・スペース/スペースアドベンチャーズ)では金額も滞在時間も大きく異なるという点である。

上の2つは弾道飛行(サブ・オービタル飛行)であり、無重力空間での滞在時間がわずか3~4分。下の2つは本格的な宇宙旅行だが、その代わりに費用も上の2つの100倍以上かかってくる。

ヴァージン・ギャランティックの宇宙船から見た景色(写真:virgingalactic提供)

現時点で、一般人に少しでも可能性があるのは上の2つにかぎられるだろう。ニューシェパードの総飛行時間が最大でも15分間なのに対してヴァージン・ギャラクティックが約2時間かかるのは、まず双胴の飛行機で高度約15kmまで上がり、そこからスペースシップ2を分離して発射させる方法をとるためである(飛行後は滑空して着陸する)。なお、すでに600名以上の予約客が同社のフライトを待っている状態だという。

とはいえ2000万円台もハードルが高いといわざるをえない。そこで1つ裏ワザがある。それはイギリスのヴァージン・アトランティック航空のマイレージプログラム、フライング・クラブで200万マイルを貯めて、ヴァージン・ギャラクティックの宇宙旅行の権利を得るというものだ。

この特典が発表されたのはいまから16年前の2005年。当時は成田とロンドンの間にヴァージン・アトランティック航空が就航しており、同社のビジネスクラスで81往復すれば宇宙に行けた。これも一般の人にはかなりハードルは高いが、頻繁に日本と海外を行き来する人にとっては、マイルをコツコツと貯めれば宇宙旅行が手に入ったのだ。

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