雑談や「何もしない」休憩で生産性が向上する訳 精神科医が教える「幸せになるための時間術」

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時間の使い方をどう決めるかについては、また別の観点からの提案もあります。それは時間をお金に換算して考える(ある決定をすることで増加した幸せを、収入になぞらえる)というものです。『TIME SMART』では、これを「ハピネス・ドル」という独自の測定基準で表しています。また、時間を獲得するためにお金を投資することも奨励していて、その損得勘定の計算もしています。

こうして時間を数値化することは、わかりやすくていいですね。人間は数値化しないとものごとが見えづらく、漠然としたものは漠然としか理解できないですから。

私も実は似たようなことをしていて、自分の1時間当たりの価値を決め、行動を選択するときにその基準に照らし合わせて考えます。

一般的な例で説明しましょう。会社員の収入は、ボーナスなどすべてを足し合わせて時給換算すると、おおよそ3000円くらいだそうです。そんな平均的な会社員が、たとえば2時間の飲み会に誘われた場合、その時間の価値は6000円です。それに会費が5000円かかるとすると、合計で1万1000円の価値になる。その金額を見て、本当に行きたいのかを考えるのです。そして、この飲み会には1万1000円分の価値は十分にあると思ったら行けばいいし、そうでもないと思ったら断るべきです。

「本当に必要か」と問う

ビジョンをもとに考えるのも、お金の価値で考えるのも、ともに言えるのは、時間に対して積極的に自分で選択をしていかなければならないということです。

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何も考えずにスマホを見ていたり、ゲームをしたりしていていいのか。会社でも、定例になっているからといって、会議や日報の提出をやるべきなのか。なんとなく使ってしまう時間について「その時間は本当に必要か」と、いま一度問いかけることが非常に重要なのです。

そして、たとえわずかな空き時間でも大切に、戦略的に使っていく。この本にも、そのためのツールがいろいろ載っています。たとえば、「『もし時間があったら』リスト」などはとてもいいですね。5分あったらできること、10分、あるいは1時間あったらできることをリストにしています。

たとえ15分でも、積み重なれば大きな違いとなります。運動をするにしろ、読書をするにしろ、3カ月くらいは続けてみてください。やがては、一生を左右するような違いが出てくると思います。

(構成:東方雅美)

樺沢 紫苑 精神科医、作家

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かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

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