太陽光パネルと土砂災害、解明迫られる因果関係 盛り土や建設残土の問題と併せて総点検が必要だ

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こうしたなか、2018年7月の西日本豪雨により、神戸市須磨区の山陽新幹線のトンネル出口付近で、線路沿いの斜面に設置された太陽光パネルが崩落。兵庫県姫路市北部の林田町では、太陽光パネル約1300枚が山の中腹から崩れ落ちた。

西日本を中心とした太陽光パネル崩落事故が引き金になって、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン 2019年版」が作られた。傾斜地に太陽光パネルを設置する場合には、「洗掘や雨裂(雨が降ったときに法面が洗い流され、地面に亀裂ができる)による土砂流出の恐れがある」として、法面保護工事が必要としている。

そして、最近の太陽光発電施設のそばの地盤が崩れる事故。NEDOは、新たなガイドラインを今年中に発表する予定だ。

土砂災害リスクを減らす新たな動き

熱海市の土石流災害を受け、赤羽国土交通相は7月6日、全国の盛り土の総点検を行う考えを示した。盛り土や建設残土をめぐる現状の見直しが期待される。

一方、小泉環境相は土砂災害のリスクを回避するため、太陽光発電施設の設置をめぐり、建設を避けるべき区域を指定するなどの規制を検討すると述べた。

今年5月に国会で成立した地球温暖化対策推進法は、再生可能エネルギーを活用した促進区域の設定を努力義務として市町村に課した。促進区域で事業を行うことが認められた事業者は、森林法、農地法、河川法などの関係手続きをワンストップで行えるよう、自治体がバックアップする仕組みがスタートする。しかし、抑制区域や(景観などの)保全区域の設置は盛り込まれなかった。

太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーを活用した設備の建設をめぐり、地域住民との間で増えたトラブル。これをあらかじめ避けるため、不適切な立地を避ける「ゾーニング」を行う自治体もある。しかし問題は、こうした自治体によるゾーニングを支える法制度がないことだ。このため、環境省の審議会などでは、「ゾーニングの法制度化を考える時期ではないか」と専門家の指摘が相次いだ。

ゾーニングや抑制区域の設定をめぐっては、これまで環境省は消極的だった。私には、脱炭素化を急ぐあまり、バランスを欠いているように思える。熱海の土石流災害は、土砂災害回避のために何ができるか、あらゆる方向からの見直しを突き付けている。

河野 博子 ジャーナリスト

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こうの ひろこ / Hiroko Kono

早稲田大学政治経済学部卒、アメリカ・コーネル大学で修士号(国際開発論)取得。1979年に読売新聞社に入り、社会部次長、ニューヨーク支局長を経て2005年から編集委員。2018年2月退社。地球環境戦略研究機関シニアフェロー。著書に『アメリカの原理主義』(集英社新書)、『里地里山エネルギー』(中公新書ラクレ)など。2021年4月から大正大学客員教授。

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