「オンライン留学」がリアル留学の再開後も残る訳 実践して見えてきた「代替」だけではない価値
現地を擬似体験しながら学ぶバーチャルツアーでは、現地で撮影した映像を見ながら講師と一緒にフィリピンの街を散策。ツアーはオールイングリッシュで進み、映像についてクイズ形式での質問や対話を通して、現地の生活スタイルや文化も学んでいきます。
放課後のアクティビティやゲストスピーカーによる講演も盛り込まれ、オンラインでも飽きさせない工夫も見られます。参加した学生はどのように感じたのでしょうか。
高等学校1年 S・Yさん(4週間参加):この留学プログラムが始まる前は英語を話す自信がまったくなくてほぼ不安しかありませんでしたが、この4週間でだいぶ英語で話すことへの自信が持てるようになりました。
参加学生からは英語力の向上や話すことへの自信がついたという意見が多かったようです。実際に英語力については、英語テスト(CEFR指標、50点満点)を2回実施した結果、初回テストと最終日テストを比較すると、全員がスコアを1以上を伸ばし、最高で15点伸ばした生徒もいたそうです。
このバーチャル留学プログラムを運営する株式会社スクールウィズの太田英基氏は、バーチャル留学の教育的効果について、「バーチャルツアー、カリキュラム、アクティビティ等を通じて、しっかり企画設計すれば従来の留学にも近い価値を提供できると気づくことができました」と自信を見せます。
ARでバリ島のゴミ山を自分の部屋で体感
SDGs(持続可能な開発目標)は、今や中高生にとっても関心の高いテーマで、オンライン留学のコンテンツにも多く見られるようになってきました。タイガーモブ株式会社は、SDGsの課題に取り組むオンラインプログラム「Online ACT」を今年のゴールデンウィークに実施し、中高生を中心に参加者が集まりました。
参加学生は1日2時間、10日間のスケジュールの中で、インドネシアのバリ島の環境問題について、オンラインでの視察や英語でのインタビューを通して、現地の課題を知ることができます。
バリ島は観光のイメージが強いのですが、世界から社会起業家や環境活動家が集まるスタートアップハブとしても知られています。また、ビーチ沿いのゴミの問題や、車・バイクからの排気ガスなどの社会課題が存在。バリに拠点を置く企業の協力のもとでプログラムは進められていきました。
私が参加した日は、バリの持続可能な農業についてのライブでのバーチャルツアーが実施されていました。現地の若手スタッフがスマホを片手に「スバック」という公平な水の配分を行うための水利システムや、農地で働く人々の姿、ゴミが放置されている様子などを、どんどんと映し出していきます。
ライブならではのリアルタイムでの地元の人への質問や、臨場感のある映像は、従来の教育の概念を覆すほどのイノベーションを感じました。
クライマックスはAR(Augmented reality:拡張現実)技術を使って、ゴミ山を体感するというものです。手持ちのiPhoneを通して見ると、自分の部屋にゴミ山が映されているので、サイズ感や立体感がわかります。
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