東レ・炭素繊維50年目の飛躍、米欧日の航空機主材料に《戦うNo.1技術》

根気強い開発が実を結んだ!

東レ・炭素繊維50年目の飛躍、米欧日の航空機主材料に《戦うNo.1技術》

50年かけて50%へ到達--。それが東レの誇る“夢の素材”炭素繊維「トレカ」の航空宇宙用途での足跡だ。

特殊なアクリル(ポリアクリロニトリル)の繊維を原料とする炭素繊維が発明されたのは1959年、通商産業省工業技術院(当時)でのこと。比重は鉄の4分の1と軽いのに、強度は10倍、変形のしにくさ7倍。鉄より強くアルミより軽いと評され、さびることも金属疲労もない。

その軽くて強い素材を航空機の材料として飛ばすことを夢見て、根気強く研究開発に取り組んできたのが東レだ。71年には量産に成功。ただ、機体や主翼など主要構造の50%に相当する35トンが使用され、名実ともに航空機の主材料へと躍り出たのは、米国ボーイング社の中型機787が試験飛行に成功した2009年12月のこと。発明から実に50年が経過していた。

 

 

衣料用や産業用途の技術 いいとこ取りで大成功!

もともとの事業環境は、日本勢の東レには決して有利ではなく、むしろ不利だった。米国や欧州勢は早くから軍用機を含む航空宇宙用途の需要に恵まれていたためだ。たとえば、米ヘクセルは東レより遅い72年の生産開始ながら、軍用機向けの特殊な中間基材(プリプレグ。炭素繊維に液体の樹脂を含浸させた素材)などで採用実績を獲得してきた(現在はシェア5%で世界5位)。

そうした恩恵が、東レにはあまりなかった。代わりに、セーターなど衣料品向けアクリル繊維の生産で低コスト生産技術を磨いた。釣り竿に始まりゴルフクラブ用シャフトやテニスラケットなど、スポーツ用途で事業の命脈を保ってきた。それは帝人系の東邦テナックスや三菱レイヨンなどでも同じだった(両社とも現在シェア19%で世界2位級)。東レの場合はそれに加え、圧力容器や土木建築の補修用など、産業用途の研究開発にも地道に取り組んだ。

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