「小顔だと死へ直結」サンショウウオの超怖い生態 実は過酷な生存競争を勝ち抜くためのシステム
顔は小さいほどかっこいい、とされている。小顔がモテるというのだ。だから世のオトナは、クリームやらマッサージやらで、小顔になろうと必死だ。自然界とくらべたら、まことにのんきなものである。サンショウウオの世界では、小顔は死を意味するのだ。
サンショウウオの卵は、池、山あいの雪どけ水や、湧き水のたまった水たまりなどに産み落とされる。卵からはたくさんの幼生、つまり子どもたちが生まれる。子どもの数がちょうどよければ問題はない。だが、せまい池に子どもが多すぎて、混雑したり、エサが不足したりすることもある。
サンショウウオの仲間には、奇妙な方法で、それを解決する種類がいる。頭が異常にでかくなりはじめるものが、子どもの中に現れるのだ。人間でいったら、顔が、にわかに、洗面器ぐらいにふくらむようなものだ。実にブキミだ。
種類によっては、頭が巨大化したうえに、さらに下アゴがつきだし、牙のような歯まではえてくるものもいる。もう、怪物だ。
そして、この「デカ頭」に変身したものが、仲間を丸のみにしてゆく。攻撃型に変身してしまったのだ。小さいもの、弱ったものなどが、まっさきにやられる。共食いのはじまりである。
サンショウウオの食べ方は「丸のみ」
なぜ、頭がでかくなるのか。サンショウウオの食べ方は、「丸のみ」だ。ゆっくりと噛みしめたりはしない。オタマジャクシなども、パクッとひとのみにする。つまり、共食いをするには、頭がでかいほうが、だんぜん、有利というわけだ。
いや、しかし、だからといって、いきなり変身をとげるなどということがあるのだろうか。そういうのはアメリカのSF映画とか、日曜朝のヒーロー番組の中にしかないのでは……と思ってしまう。
キリンの首が、何千万年もかかって、進化して、長くなっていったことは、よく知られている。しかし、そういった進化とはまた別に、生き物には環境に合わせて体を変化させてゆく仕組みが備わっているのだ。生き物の中にある、体をかたちづくる設計図に、環境の変化に対応する力が組み込まれているのだ。それがないと、環境が変わったら、生きられないことになってしまう。
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