「オリンピック開催」に突き進ませる6つの数字 中止の損害も、メンツにこだわるリスクも膨大

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7月23日から開催される予定の東京オリンピック。さまざまな問題がある中で、日本と組織委員会が開催に突き進むのはなぜなのか。数字で考えてみた(イラスト:Jackson Gibbs/The New York Times)

オリンピックではいつも数字が物を言う。それもそうだろう。秒、メートル、ポンドといった数字がなければ、「より速く、より高く、より強く」のモットーは成り立たないのだから。数字あってこその、速さ、高さ、強さ、だ。

ところが、東京オリンピックでは1年以上にわたって、これとは別種の数字が話題を独り占めしている。新型コロナ感染者数の増加、高まるリスク要因、ワクチン接種の遅れなどである。

こうした懸念にもかかわらず、東京五輪がこの夏に開催されるのはほぼ間違いない。定員を減らしたうえで国内の観客を入れるとした6月21日の発表によって、開催はさらに確定的なものとなった。開会式まで1カ月を切った今、東京五輪がそれでも開催に突き進んでいるのはなぜか。その理由とみられる数字を紹介していこう。

日本のブランドイメージがかかっている

154億ドル(約1兆7000億円)

開会式の夜に東京の新国立競技場に人っ子ひとりいない展開になったら、どうなるか。投資した154億ドル(約1兆7000億円)がほぼ水の泡と消える。五輪の予算はそもそも膨張していることで有名だが、東京大会の経費は過去最高記録を塗り替え、その支出はこの1年間でさらに30億ドルも膨れ上がった。しかし大会を中止すれば、こうしたカネが無駄になってしまうばかりか、日本のイメージにも計り知れない傷がつく。

日本在住歴30年以上の投資アドバイザー、イェスパー・コールは「これは宣伝事業だった」と指摘する。「結局のところ、建設費用が回収できるかどうかは問題ではない。日本という国のブランド(イメージ)を高められるかどうかが問題になっているわけだ」。

組織委員会などは3月の段階で、海外からの観客を受け入れない方針を発表している。そのため、東京のホテルや飲食店が五輪に期待していた商機の多くはすでに消滅した。日本に入国を許される大会関係者も、東京の魅力はさして味わえない。関連施設から出られない規則となっているためだ。

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