大都市郊外の働く母は「モールと生きる」 百貨店はもういらない!? モールですべてが事足りる

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モールブランドのクオリティが上がっている

ところで、服が好きなW子さんにとって、モールで売っている服の何がそれほど魅力的なのだろうか。

「いやいや、モールブランドのクオリティって最近、すごいんですよ。セレクトショップ系のセカンドブランドや、GAPのセカンドブランドのオールドネイビーとか、何かのセカンドブランドがいっぱい入っている。しかも、クオリティが高くて安い。安いといっても超激安とかではなくて、1着3900円クラスのクオリティがめちゃくちゃ上がっているんです。もう百貨店の存在理由がわからない」

またしても百貨店に疑問を投げかけるW子さんは、厳しい意見を続ける。

「今は百貨店に入っている国内アパレルメーカーも、どんどんセカンドのブランドを作って、モールに“下りて”きています。でも、私の印象では、そういうセカンド、サードブランドがダサい。どうしてかわからないんですけど、ナメてんの?って感じ。“上から下りてきた感”のない、最初からモールや駅ビルで戦っている会社のブランドが強いですね。ひとつのモールに同じ会社の違うブランドがふたつ、みっつ入っていたりする」

だが、強いブランドは結局、どこのモールでも強く、生き残るのはZARAやアースミュージック&エコロジー、グローバルワークなど、だいたい決まっているという。W子さんの目下の懸念は、モールの均質化である。

モールブランドが強いワケ

なぜ最初からモールや駅ビルで戦っている会社が強いのか。

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グローバルワーク

グローバルワーク、ローリーズファーム、ニコアンドといった人気ブランドを手掛けるアダストリアホールディングスは、モールや駅ビルを中心に1300店舗展開し、この10年で業績が6倍近く伸びた(2004年2月期の売上高は278億円、2014年2月期は1538億円)。

「ショッピングモールがこの10年で急激に成長していく中で、一緒に成長させていただいた」と取締役の宮本英範さんは話す。

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ローリーズファーム

同社の功績は、「中間価格帯ファッションカジュアル」というマーケットを作り出したことである。それまでの服は「高価なモード系」か、「安価なダサ系」に二極化し、「中間のほどよい系」がなかった。その潜在的なマスマーケットに向けた服を次々と展開して、消費者の心をがっちりつかんだのである。リーズナブルで、ほどよいおしゃれができるのだから、当たり前といえば当たり前だ。

グローバルワークは、メンズ、ウィメンズ、キッズがあり、価格帯は、メンズのカットトップスが2000~5000円、ウィメンズが1250~5000円、キッズが1000~2500円。ローリーズファームの価格帯は、ブラウス・シャツが3800~6000円、ワンピースは5000~8500円。1万円でお釣りがくる。

だが、都心型の駅ビル、準郊外型のららぽーと、郊外型のイオンモールと、立地や商業施設によって求められるテイストが異なるはずだ。

「どの商業施設においても、お客様に選ばれるようなブランドであり続けたい。退場!と言われないように、つねにお客様にとって何が魅力的な商品なのかを追い求めています」と宮本さん。ナメていない。真摯にマーケティングに力を注いでぎ続けてきた結果、22ブランドも生み出した。どの地域のどんな商業施設にも対応できる。

この中には、人気の女性誌『VERY』と組んで作ったバンヤードストームというブランドがあり、百貨店に出店しているという。W子さんの言葉を借りれば、“下から上がっていった感”がある。どんな土俵で戦おうと、最終的には消費者のニーズに応え続ける会社が勝つのだろう。

上田 真緒 ライター、編集者

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うえだ まお / Mao Ueda

ビジネス誌、ビジネス書の編集者・ライター

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