住民税に1000円上乗せ徴収「森林環境税」の違和感 2024年度導入で年間620億円の税収を見込む

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2019年に創設された森林環境税を知っていますか?(写真:Yoshi/PIXTA)
新型コロナウイルスの影響もあり世界的に木材需要が高まった結果として、価格が高騰している――いわゆる「ウッドショック」が話題になる機会が増えた。国土の約7割が森林という日本にとってはビジネスチャンス、となってもおかしくないはずだが、そのような景気のいい話は聞こえてこない。なぜか。その背景には、林業や森林に関する政策の制度疲労が深くかかわっている、と指摘するのは長年、林業の現場で調査、研究を続けてきた白井裕子・慶應義塾大学准教授だ。
白井氏は新著『森林で日本は蘇る 林業の瓦解を食い止めよ』で、ほとんどの国民が知らない林業や森林が抱える問題点を伝えている。象徴的なのは、いつの間にか決まっていた「新税」の存在だろう。2024年度から、森林にまつわる新しい税金が徴収されることになったことを知る人は少ない。新税とはいったい何か、日本で何が起きているのか。同書より一部抜粋し再編集のうえお届けする。

森林環境税への違和感

2019年、ほとんどの国民が知らないうちに森林環境税なるものが創設された(同年3月に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立し、森林環境税と森林環境譲与税が作られた)。

この新しい国税は、使い方がハッキリしないまま、国民から徴収することだけが決まった。2024年度より、国民に対して住民税に1000円上乗せして徴収される。この税収は1年で620億円と言われる。そこから地方公共団体に「森林環境譲与税」が配分される。

「年間1000円の負担で、美しい森林が保てるのならば良いではないか」という物わかりの良い方もいるかもしれない。だが、以下の説明を読んでいただければ、そのようなことは期待できないことを理解していただけると思う。

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