パート年収「130万/106万円の壁」重要な最新事情 ワクチン接種業務は対象外、2022年改定控える
とはいえ、主婦としてパートをしている人にとって、扶養に入れるかどうかは切実な問題でもあります。
年収130万円以上になり扶養から外れると、自分でパート先の社会保険に加入し、年金保険料と健康保険料が天引きされます。その額は年収130万円の場合で年間約20万円になり、手取りは110万円近くまで下がってしまいます。このコストを払っても、扶養内のとき以上の手取りを得るには、おおむね年収155万円以上を目指さねばなりません(諸条件により個人差があります)。
社会保険に入れば、老後の年金は厚生年金部分が上乗せされ、健康保険も傷病手当金や出産手当金の対象になるなど受けられる保障が広がります。長生きすれば生涯収支も黒字になります。しかし、それ以前に目先の収入を増やすのがパートに出る目的ならば、「だったら年収129万円に抑えておこう」と思っても無理はありません。
実際、厚生労働省「パートタイム労働者総合実態調査(2019年)」によると、パートをしている既婚女性の92%が「主に配偶者の収入で暮らして」おり、パートをする理由のトップが「家計の足しにするため」と回答しています。また、就業量を調整しているパート女性の半数以上(54%)は「年収が130万円を超えると扶養から外れるから働かない」とも回答しています。
家計の収入を増やし、かつできる限りコストをかけない、パートの最大公約数的な働き方が「社会保険の扶養内」なのだとしたら、ワクチン業務に限定されるとはいえ130万円以上働ける特例は、パートの人にも、その家計に大変ポジティブな公式破りといえます。
来年10月には扶養から外れる範囲が広がる
しかしこの公式は、近い将来に崩れていく可能性があります。今回のコロナ関連の特例とは別の動きとして、社会保険の制度は2022年以降に改定を控えています。勤務先で社会保険に加入するパート労働者の対象が広がるのです。
現在、パートの人が自身の勤務先の社会保険に加入するのは、以下に該当する場合です。収入要件が年収換算で106万円にあたることから「106万円の壁」ともいわれています。
(2)所定労働時間が、週20時間以上
(3)月額賃金が、88000円以上(年収106万円以上に相当)
(4)勤務期間の見込みが、継続1年以上
(5)学生ではない
※500人以下の企業も労使合意に基づき適用が可能。国・地方公共団体は適用対象
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