パート年収「130万/106万円の壁」重要な最新事情 ワクチン接種業務は対象外、2022年改定控える
前項の条件のうち、(1)勤務先と(4)勤務期間の適用範囲が広がります。2022年10月には勤務先の従業員数は100人超へ、雇用期間の見込みは2カ月超に変わります。さらに、2024年10月には従業員数50人超の企業まで拡大される予定です。これまではおもに大企業や大規模チェーン店で働いているパートの人が対象でしたが、中小企業や中規模な病院などで働く人も対象になるのです。
要件に該当すると、パート先の企業で社会保険に加入することになり、たとえ年収130万円未満であっても夫の扶養には入れなくなります。つまり年収が106万円から130万円の人は、ほかの要件にも該当すれば来年10月以降は自分のパート先で社会保険に加入せざるをえず、年金と健康保険の保険料がパート代から天引きされることになるわけです。
なお、コロナによる130万円の壁の特例は来年2月までの限定措置で、106万円の壁が来年10月に拡大するときにはすでに終了している予定です。制度としても別のものです。仮に今年、ワクチン接種業務に就いて一時的に年収が増えても、それが直接の原因で106万円の壁に該当してしまうわけではありません。
長期的に見れば扶養内で働けるパートの選択肢は狭まる
ただ、目下は特例によって扶養内で稼ぎやすい状況にあるものの、長期的に見れば扶養内で働けるパートの選択肢が少なくなっていくのは確実です。将来は「扶養内」にこだわり続けるのが難しくなっていくことは、いまから意識しておくのが賢明でしょう。
折しも、今回の特例を機に130万円の壁を超えて仕事量を増やすことは、年収の枠にとらわれずに働く経験にもなります。これまで「130万円の壁ありき」だった前提がなくなった状態で働く余地ができたとき、家計管理の手段も考え方も、大きく変わるはずです。働き方やキャリア形成についても、新たな選択肢や視点が生まれてくるかもしれません。
130万円の壁が一時的にも崩されたことには、そんな意義もあるのではないでしょうか。
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